ソニーのPlayStation(初代プレステ、PS1)は2024年に30周年を迎え、数々の名作ソフトを打ち出しました。1988年にスーパーファミコンのアドオンとして始まったものが、ゲーム市場で大成功を収め、任天堂やセガといった既存の巨頭を凌駕しました。
PS1は世界で1億台以上を売り上げ、数多くの名作ソフトを輩出。その中には、現在も続いているシリーズもあります。
PS1は、当時としては画期的なアナログコントロールや振動機能といった概念を採用。ライバル企業であったセガや任天堂も、1990年代中盤には同様の技術を取り入れていました。
しかしながら、初代プレステの偉大な業績を形作ったのは、コンソールではなくゲームそのものであったようです。これを踏まえて、Techopediaは「PS1名作10選」として、PS1のおすすめソフト・ゲームをランキング形式で紹介します。
PS1(プレイステーション初代)の重要ポイント
- ソニー・プレイステーション(初代)は1994年12月3日に日本で発売されました。
- プレステの初代は生涯で全世界で1億台以上を販売しました。
- 1998年に発売されたデュアルショックコントローラーは、初めて振動機能とデュアルアナログスティックを搭載しました。
- プレイステーションはもともと、スーパーファミコンのCDアドオン(既存のソフトウェアに新たな機能を追加するプログラム)として計画されていましたが、その計画は中止されました。
- 2018年に発売されたプレイステーションクラシックには、プレステ初代の名作20本のゲームがプリインストールされています。
PS1(プレステ初代)の名作ソフト10選
様々な評価軸からおすすめできるプレステ初代(プレステ1)のソフトについて、ランキング一覧で紹介していきます。
PS6の発売は当分先と予想されているので、この機会にぜひ原点回帰して、PS1名作を楽しんでみましょう。PS1ゲームで思い出せないソフトも見つかるかもしれません。
第10位:トニー・ホークス プロスケーター2
開発 | Neversoft |
発売元 | Activision |
発売年 | 2000年 |
ジャンル | スケートボード |
ゲームの良さを左右する重要な要素として挙げられるものは「操作性」です。『トニー・ホーク プロスケーター 2』においては、前作で改良の余地のあったアクション面をさらに進化。向上した操作性自体が、ゲームの魅力を作り上げる決定的な要素となりました。
2000年に発売されたこのスケートボードゲームの主人公は、スケートボードの神とも呼ばれる実在のプロスケートボーダーのトニー・ホーク。その他9人のキャラクターと3人の隠しキャラクター(スパイダーマンを含む)を操作することができます。
ゲーム中においては、制限時間内で、手紙を集めたり、秘密のテープを探したり、さまざまな目標を達成する必要があります。また、ボタンのコンビネーションを駆使してスケートボードのトリックを決め、高得点を狙うという要素も加わっています。
『トニー・ホーク 2』は、家庭用コンソールで実現できる3Dスポーツゲームの可能性を大きく広げた作品です。このゲームは、スポーツジャンルの中でトップクラスに優れたプレステソフトの一つだと言えるでしょう。
第9位: 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲
開発 | コナミ |
発売元 | コナミ |
発売年 | 1997年 |
ジャンル | メトロイドヴァニア(横スクロールアクション) |
1994年にスーパーファミコンで発売された『スーパーメトロイド』が、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるジャンルの先駆けとなりました。「メトロイドヴァニア」とは、広大なエリアを探索し、アイテムを収集するジャンルです。
その3年後の1997年にプレステのソフトとして発売された『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』は、メトロイドヴァニアジャンルをプレイステーションで完璧に具現化。この結果、『月下の夜想曲』は、「悪魔城ドラキュラ」シリーズの最高傑作として広く評価されました。
『悪魔城ドラキュラ』シリーズは、従来アクションベースのゲームであったところ、さらなる要素を追加。巨大な城を探索し、数多くのアイテムや武器を手に入れながら、プレイヤーが主人公であるアルカードの能力を成長させていくRPG要素が誕生しました。HP(ヒットポイント)やMP(マジックポイント)などを組み合わせることで、深いゲーム戦略を楽しむことが可能になりました。
また、耳に残るサウンドトラック、吹替音声もゲームの魅力の一つとなっています。「メトロイドヴァニア」ジャンルを強化したゲームとして、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』はPS1の神ゲーの一つに位置づけられるでしょう。
第8位:R4:リッジレーサータイプ4
開発 | ナムコ |
発売元 | ナムコ |
発売年 | 1998年 |
ジャンル | レーシング |
『R4:リッジレーサータイプ4』のオリジナル作品である『リッジレーサー』は、1994年にプレイステーションのソフトとして発売。3Dアーケードレーシングゲームが、家庭用コンソールでどれだけうまく再現できるかを示し、成功を収めました。しかし、このシリーズは続編『R4:リッジレーサータイプ4』でさらに進化し、レースゲームとしての最高峰を迎えました。
『R4:リッジレーサータイプ4』は1998年に発売。この作品の特徴は、高解像度グラフィック、レーシングカーの操作性、耳に残るサウンドトラック(作曲チームには有名ゲーム作曲家高橋コウタ氏を含む)。
特にゲームのイントロで流れる「Urban Fragments」という楽曲が、高い評価を得ています。疾走感あふれるゲームのモチベーションを高め、レースにうってつけの高品質なサウンドとして多くのユーザーを魅了しました。
このゲームには、プレイヤーがレースの難易度選び、その選択によって車両の操作性や速度が変わるグランプリモードが搭載。さらに、車のハンドリングをよりよくコントロールするための専用コントローラー(ジョグコン)まで用意されています。
『R4:リッジレーサータイプ4』はプレステのレーシングゲームとして期待される全ての要素が詰まっていました。その結果、PS1名作レーシングゲームとして地位を確立することとなりました。
第7位:ワイプアウトXL
開発 | サイグノシス |
発売元 | ソニー |
発売年 | 1996年 |
ジャンル | レーシング |
近未来のSFバトルレースゲーム『Wipeout(ワイプアウト)』は、プレステのソフト発売され、レース中の独特の浮遊感や超スピードのスリルで絶大な人気を博しました。
その続編である『ワイプアウトXL』は、レースゲームとしての内容だけでなく、キャッチーなサウンドトラックも特徴で、ゲーム音楽の限界を押し広げました。
『ワイプアウトXL』では、The Chemical BrothersやThe Prodigyといった有名アーティストが楽曲を提供。彼らの音楽は近未来的なゲームの雰囲気を一層引き立てました。この音楽性の進化によって、これまで「ゲームは子供向け」と思っていた層の関心も惹いたようです。
『ワイプアウトXL』のレースモードでは、スリリングなコース、近未来的な車両、車両に搭載する武器、そしてリアルなスピード感を伴ったプレイ性が実装。
こういったレースゲームそのものの魅力も相まって、『ワイプアウトXL』は、PS1名作ゲームの一つとなりました。
第6位:クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲
開発 | ノーティードッグ |
発売元 | ソニー |
発売年 | 1997年 |
ジャンル | 横スクロールアクション |
『クラッシュ・バンディクー』は大ヒットを遂げ、プレイステーションのマスコットの一つとなりました。その続編『クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲』は、前作の良さをさらに強化しました。
1997年に発売されたこのゲームでは、ゲームの舞台として5つのステージが導入され、プレイヤーは各ステージを任意の順序で挑戦することが可能に。ストーリーのクリアに必要なクリスタルやジェムを、好きな順番で集めることが出来るようになりました。
『クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲』はグラフィックが大幅に向上した結果、スムーズなフレームレートでカクカクした動作なくゲームを楽しめるようになりました。
主人公クラッシュ・バンディクーの新しいアクション動作が追加され、当時としてはアクション性の高さが際立つ作品でした。また、CGアニメとしても通用するような美しいムービーシーンも特徴的です。
こういった理由から『クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲』はPS1名作アクションゲームとして名を馳せることとなりました。
第5位:鉄拳3
開発 | ナムコ |
発売元 | ナムコ |
発売年 | 1997年 |
ジャンル | 格闘ゲーム |
『鉄拳3』がアーケードで登場したのは1996年11月で、PlayStation版が発売される約2年前でした。『鉄拳3』がユニークなゲームシステムを有することから、アーケードでの登場当初から、その他の格闘ゲームとは一線を画する存在であることは明らかでした。
『鉄拳3』は、3D格闘ゲームの進化に成功。前作より複雑なコンボ、投げ技、そしてオリジナリティ溢れるキャラクターが登場し、鉄拳を象徴する「鉄拳フォース」モードや「鉄拳ボール」モードも加わりました。
『鉄拳3』は、バーチャファイターのようなその他の格闘ゲームを追い抜き、家庭用コンソールでの格闘ゲームの可能性を広げたゲームでした。こういった理由から、『鉄拳3』は格闘ジャンルにおけるPS1名作ソフトの一つと言えるでしょう。
第4位:バイオハザード2
開発 | CAPCOM |
発売元 | CAPCOM |
発売年 | 1998年 |
ジャンル | サバイバルホラー |
『バイオハザード2』は、世界的な大ヒットを収めたプレステソフト『バイオハザード』の続編です。シリーズ原点の『バイオハザード』でゲームとしてはほぼ完成していたものの、CAPCOMの制作チームは基準を満たしていないと判断。ゼロから『バイオハザード』を作り直すことを決めました。その結果、前作をあらゆる面で強化し、さらなる進化を遂げた続編が生まれました。
プレイヤーは、レオン・S・ケネディまたはクレア・レッドフィールドを選択可能。舞台であるラクーンシティの不気味な警察署を探索し、パズルを解き、武器やアイテムを収集し、ゾンビ発生事件の発端となったアンブレラ社の秘密を明らかにしていきます。
さらに、両キャラクターに対して、異なるセカンドシナリオが導入。2019年に発売された『バイオハザード2』のリメイクで登場する敵キャラ「タイラント(通称:ミスターX)」も、本作で初めて登場しました。クリア後のお楽しみも追加され、繰り返しプレイする楽しさを導入した作品としても評価されています。
『バイオハザード2』は、閉塞感やパラノイアを感じさせるゲームとして、サバイバルホラーというジャンルの基準を打ち立てました。こういった理由から、『バイオハザード2』がPS1神ゲーの一つとしてランクインしました。
第3位:トゥームレイダー
開発 | Core Design |
発売元 | アイドス |
発売年 | 1996年 |
ジャンル | アクションゲーム |
『トゥームレイダー』は、当時は珍しかった女性主人公、ララ・クロフトを主演に据えました。ゲームといえば男性の娯楽だった時代に、ゲームのプレイ機会を女性にも開いた作品とも言えるでしょう。
『トゥームレイダー』はイギリスのゲーム会社Core Designによって制作。プレイヤーは巨大なフィールドを探索し、登場キャラクターであるピエールなどと競いながら、ストーリーの振興に必要なアイテム「シオン」を集めます。
音楽はイギリスの音楽作曲家Nathan McCreeによって作曲。ゲームプレイを一層盛り上げる、ティラノサウルスを彷彿とさせる躍動感ある曲が特徴的でした。
『トゥームレイダー』は現在まで続くシリーズを生み出し、新しい映画も製作中であり、長期にわたる人気を誇るコンテンツです。この原点となった『トゥームレイダー』は、間違いなくトップクラスのPS1名作アクションゲームとして君臨するでしょう。
第2位:ファイナルファンタジーⅦ
開発 | スクウェア |
発売元 | スクウェア |
発売年 | 1997年 |
ジャンル | RPG |
1986年のオリジナルの発売以来、『ファイナルファンタジー』は2Dのピクセルゲームでした。スクウェアが『ファイナルファンタジーⅦ』をプレイステーション用ソフトとして発売すると発表した際、従来のファンは2Dから3Dへの移行を心配していました。
しかし、その懸念は全くの杞憂に終わることに。『ファイナルファンタジーVII』は最高のPS1名作として評価されることになりました。
このゲームの特徴は、美しい3Dレンダリングの背景、特に召喚獣を使った戦闘シーンでの素晴らしいアニメーション、そして名作曲家である植松伸夫氏によって制作された、耳に残るサウンドトラック。
『ファイナルファンタジーⅦ』は、3Dコンソール向けRPGの新たな形を提示し、その後の基準を築いたとされています。この作品の成功により、以降のファイナルファンタジーシリーズは高い完成度を求められることとなりました。
今でも語り継がれる感動的なストーリーとともに、『ファイナルファンタジーVII』は多くのプレイヤーにとって忘れられないRPG没入体験をユーザーに提供しました。そしてPS1の神ゲーと言わしめる存在となったのです。
第1位:メタルギアソリッド
開発 | コナミ |
発売元 | コナミ |
発売年 | 1998年 |
ジャンル | アクションゲーム |
『メタルギアソリッド』はビデオゲームにおけるストーリー性を一段階進化させ、ボスバトルの概念を新たに築きました。
プレイヤーはソリッド・スネークを操作し、ゲームの舞台となる島、アラスカのシャドーモセス島に潜入。前作のボスであるビッグ・ボスの息子、リキッド・スネーク率いる一団に立ち向かいます。しかし、潜入も一筋縄ではいかず、ゲームの途中で数々の予期せぬ展開が発生。プレイヤーは2つに分岐するエンディングを決定するため、重要な選択を迫られます。
『メタルギアソリッド』はビデオゲームにおけるストーリー性に一段と深みをもたせ、パズルやボス戦をクリアするために、常識を超えて考えることをプレイヤーに要求しました。
特に、異彩を放つ敵キャラ「サイコマンティス」との戦闘などが印象的です。奇抜な戦闘方法と音楽がゲームプレイを一層引き立て、プレイステーションの機能を駆使しながらサイコマンティスを倒す方法は、もはや伝説的だと言われています。
こういった理由から、『メタルギアソリッド』は史上最高のPS1名作ゲームとして1位に選びました。
まとめ
本記事では、PS1の名作10本について紹介しました。プレイステーションは、単にゲームをプレイする楽しさだけでなく、視覚や音による楽しさも提供すし、新しい可能性を広げた素晴らしいプラットフォームです。
『トゥームレイダー』が象徴するT-レックスとの戦いから、『メタルギアソリッド』の素晴らしい映画的体験に至るまで、プレイステーションはゲーム業界が進化するための画期的なきっかけをもたらしたと言えるでしょう。
Nintendo Switch後継機の発売が噂され、コンソールが更なる改良を遂げようとしている今、プレイステーションがゲーム業界に与えた影響を改めて振り返ることは重要です。
特に、ファイナルファンタジーシリーズや新作発表を控えるポケモンシリーズのようなゲームの登場は、ゲームが単なるエンターテインメントにとどまらず、文化現象へと成長していったことを再認識することができます。