急速に変化するデジタル通貨の世界。その中で、ビットコインは最先端の仮想通貨として世界中の投資家の注目を集めている。ビットコインは革新的だと称されているが、その理由の1つに、ビットコインマイニングというプロセスの存在がある。このプロセスによって、ビットコインはブロックチェーンのエコシステム全体に大きな影響を及ぼしているのだ。
本記事では、ビットコインマイニングとエネルギー消費の統計データについて詳しく解説。ビットコインの成長と地球環境の両方にとっての重要である理由を追求していく。
どのような投資家であれ、ビットコインマイニングに関する深い知識がなければ、仮想通貨が持つポテンシャルを充分に理解することは難しい。もしもあなたが投資家ならば、本記事を読んでビットコインマイニングがもたらす意義や、押さえておくべきポイントの把握に努めよう。
ビットコインマイニングの統計データに関する重要ポイント
- ビットコインマイニングによる世界の年間電力消費量は、2023年5月時点で約95.58テラワット時に到達。
- ビットコインは仮想通貨による世界の電力使用量のうち、60~77%を占めると推定される。
- ビットコインマイニングの時価総額は81億1000万ドルである。
- ビットコインマイナーが生み出す1日あたりの収益は2770万ドルである。
- 米国は世界最大のビットコインマイニング産業を有し、世界のビットコインネットワークのハッシュレートのうち38%以上を占めている。
ビットコインマイニングのエネルギー消費に関する統計データ
ビットコインの人気と価値が上昇するにつれて、マイナーは新しいコインをさらにマイニングしようとする。増加するマイニングにより、ブロックチェーンの維持に必要なエネルギーも増大している。そのような背景があり、ビットコインマイニングのエネルギー消費に対して、大きな関心が集まっている。
米国のニューヨーク・タイムズ紙によると、ビットコインマイニングは世界で生産されるエネルギーのうち、約0.5%を消費しているという。ワシントン州だけでも、ビットコインマイニングによる大きな電力消費量を記録している。ワシントン州だけで、国内全土の住宅冷房で使用される年間電力の3分の1以上を消費しているのである。同時にビットコインマイニングの消費量は、グーグルが世界中で使用する総エネルギー量の、7倍以上に相当することも判明している。
ビットコインが発行され始めたばかりの頃は、マイニングは一部の限られた人々の間でしか行われていなかった。当時は一般的な家庭用パソコンであっても、仮想通貨を数秒でマイニング可能であった。しかし今、1ビットコインをマイニングするためには「一般家庭の約9年分の電力」が必要である。
たとえば2023年5月時点では、ビットコインマイニングによって推定95.58テラワット時の電力が消費されていた。2022年には年間電力消費量における過去最高値、204.5テラワット時を記録。これは、フィンランドの電力消費量すらも上回る数値である。
2022年8月時点で、すでにビットコインの電力使用量は、仮想通貨による世界の電力使用量の60〜77%ほどを占めていたとされる。
ホワイトハウスのレポートによると、ビットコインマイニングのエネルギー総消費量は、2022年で500億キロワット時に到達。これは米国で稼働している、すべてのコンピューターのエネルギー総使用量を上回るともされる。
上記のデータを見ても、ビットコインマイニングが計り知れない規模のエネルギーを使用していることは明らかだろう。
現在、1つのビットコイン取引を完了させるためには、1449キロワット時の電力が必要とされる。米国の一般家庭が50日間に消費するとほぼ同じである。金額に換算した場合、1キロワット時あたりの電気代を12セントとすると、ビットコインマイニングでは約173ドルの電気代が発生しているということになる。
仮にビットコインネットワークが消費するエネルギー量を「独立した国のエネルギー量」と仮定した場合、エネルギー消費量は世界で34番目に多いことになる。
以下のグラフはビットコインとVisaが、2023年5月時にそれぞれの取引によって消費されたエネルギー量を比較したものである。Visaは約10万件の取引に、148.63キロワット時のエネルギーを消費。一方で、ビットコインは取引毎に、703.25キロワット時のエネルギーを消費している。
ビットコインマイニングとエネルギー消費量の計算方法
ビットコインマイニングの正確なエネルギー消費量を特定することは困難である。理由は、以下のとおり。
- ビットコインマイニングの分散化
- 標準化された報告要件の欠如
- 動的で絶えず進化するマイニング環境
- マイナーによって使用される異なるエネルギー源
- マイニング作業の非公開性と機密性
一方で、正確なエネルギー使用量を推定したい場合には、仮定値や近似値、収集できるデータを用いた統計モデルを頼ることが多い。
仮想通貨ニュースサイトのデジコノミストは、インフォグラフィックを公開。ビットコインのエネルギー消費量を正確に特定する難しさを浮き彫りにしている。エネルギー消費量次第で電気代が高くなり、マイナーの収入は大きく左右されることになる。
米国のビットコインマイニングファームとエネルギー消費に関するデータ
ニューヨーク・タイムズ紙は、米国内で大きくエネルギーを消費している34のビットコインマイニングファームを特定。これらのファームは、電気代および二酸化炭素排出の増加などによって、周囲の住人に影響を及ぼしているとされる。
また34のファームはそれぞれ、少なくとも米国の一般家庭の3万倍もの電力を使用。合計で3900メガワット以上の電力を消費しているということになる。これは周囲の約300万世帯の総電力使用量に相当する。
ここで、ファームごとの電力消費量を細かく見てみよう。
まず、ネブラスカ州カーニーに位置するビットコインマイニングファームは、同地域の約7万3000世帯と同量の電力消費量を記録。一方、ジョージア州ダルトンのマイニングファームは、周囲約9万7000世帯分の電力を消費している。
米国で最も電力を消費するビットコインマイニング事業を手掛ける、テキサス州ロックデールのライオット・プラットフォームズにも注目してみよう。ここでは、周辺地域の30万世帯と同量の電力を使用している。
マイニング企業ビットディアーの近くにも、ライオットのマイニングファームは存在する。こちらにおいては、半径40マイル以内の全世帯のエネルギー使用量を上回る電力消費量に達している。
なお、テキサス州に拠点を置く仮想通貨マイニング事業者らは、最大10年間にわたり、非常に低い価格で電力を確保できる契約を結んでいる。
気候変動 vs ビットコインマイニングおよびエネルギー消費
2021年8月時点でのビットコインネットワークの電力需要が13.39ギガワットであり、平均排出係数が557.76 gCO2キロワット時であると推定。ビットコインマイニングは年間で約65.4メガトンのCO2を排出する可能性があることが分かる。ビットコインマイニングの「カーボンフットプリント」は、マイナーが使用する電力源に基づいて換算できる。
以下の画像は、2019年に56.6メガトンのCO2を排出したギリシャの排出量に似ているが、実際はビットコインマイニングによる世界中の「カーボンフットプリント」を表したものである。画像によると、ビットコインマイニングによる排出量は、世界の排出量の0.19%に相当する。
ビットコインマイニングにより、2021年5月までに年間約3万1000トンの電子廃棄物が発生。2022年6月までに、発生量は年間3万5000トンに上昇した。オランダの年間電子廃棄物の生産量に匹敵するほどの量である。
ニューヨーク州の天然ガス発電所グリニッジは、ビットコインマイニングによって年間約8万8440トンのCO2-eq(二酸化炭素等価)を排出している。仮に同発電所が、すべての発電能力をビットコインマイニングに割り当てた場合、年間排出量は合計65万6983トンのCO2-eqに達するだろう。
なぜこれほどの排出量となるのか。それは、温室効果ガス総排出量の約79%が発電によって生じるものであるからである。
なお、最大稼働時の年間排出量は、約14万台の乗用車、または27万2155トンの石炭燃焼による排出量に相当する。
ビットコインマイニングのエネルギー消費に、メリットはあるのか?
ビットコインマイニングによる悪影響に対処するため、ビットコインマイニングカウンシル(BMC)が動いている。このグラーバルフォーラムは、世界のビットコインマイニングネットワークの48.4%を率いるマイニング企業で構成。フォーラムは2022年第4四半期にビットコインマイニング業務で使用された電力について、その58.9%が再生可能エネルギー源によるものであると明らかにした。2021年第1四半期時点では推定36.8%であったことから、その数字が顕著に増加していることが分かるだろう。
さらにビットコインクリーンエネルギーイニシアティブメモランダム(Bitcoin Clean Energy Initiative Memorandum)は研究論文を発表。ビットコインマイニングは再生可能エネルギーや蓄電を補完するための、理想的な技術であると報告している。
研究論文では、ビットコインマイニングのメリットを複数紹介。記載されている主なメリットは以下の通りだ。
- ビットコインマイニングは、世界中のエネルギーが再生可能エネルギーに移行することを促進する
- ビットコインマイニングは、電気代に負担をかけずに太陽光発電システムへの投資を促進する
ビットコインマイニングの市場規模と収益に関する統計データ
ビットコインマイニングは、トランザクションを検証し、ネットワークを保護するプロセスである。このプロセスの存在により、競争の激しい産業へと発展。現在、ビットコインマイニングの市場規模とそこから生み出される収益は、指数関数的に拡大している。
利益性の高さから、ビットコインマイニング市場には個人マイナーから大規模マイニング事業者まで、世界中から多くの人々が集う。2021年11月には、ビットコインの価格が急騰。6万5000ドルを突破し、仮想通貨としての最高値を記録した。
ビットコインの大幅な価格上昇により、2023年6月時点で時価総額は5978億ドルに到達している。
市場規模の拡大しているビットコインだが、一方で最大供給量は2100万コインに設定されている。2023年3月には1900万枚以上のビットコインがマイニングされたが、これはつまり、約200万枚のビットコインは未だマイニングされずに残っているということを示している。ただし、もし2100万枚すべてがマイニングされたとしても、追加でビットコインが作られることはない。コインの希少性を見出し、価値を維持するためである。
上記の理由から、ビットコインの時価総額は支えられており、現在81億1000万ドルという値をつけている。
大手ビットコインマイニング企業のデータ
上場済みのビットコインマイニング企業のうち、大手16社の評価額をまとめたリストをカンパニーズマーケットキャップが公開した。ただし今回のリストでは、上場済みだが規模が小さいために記載されなかったマイニング企業が存在する可能性もある。さらに、多くの仮想通貨マイニング企業は非公開企業であるため、それらの株式は証券取引所で取引されていない。
上のリスト画像から分かるように、マラソンデジタルホールディングスが22億7000万ドルの時価総額を誇り、最大のビットコインマイナーとして業界をリードしている。
またリスト内の企業の売上高を見ると、中国のビットコインマイニング企業であるカナンがトップに位置している。この企業は主にビットコインマイニングマシンの販売から収益を得ており、2022年の総売上高は6億5000万と報告されている。
カナンは利益においても、ビットコインマイニングの上場企業の中でトップに位置。2022年の全4四半期で、合計9233万ドルの利益を獲得している。2020年時点では3120万ドルの赤字を計上していたが、2021年に同社の収益は大きく改善し、3億ドルに到達した。
ビットコインマイニングによる収益データ
2023年6月26日、ビットコインマイナーが生み出す1日あたりの収益は2770万ドルを記録。前年の同期間に記録された1820万ドルと比較すると、52.20%もの大幅な成長を見せていることがわかる。
2021年4月には、ビットコインマイナーは1日あたりの収益で驚くべき金額を記録。なんと、2018年以来最高値となる8012万ドルに達したのである。
仮想通貨の分析企業グラスノードのレポートによると、ビットコインマイナーは2023年6月27日、1回の取引で1億2800万ドルという異例の高額取引を経験。この金額は、1日の収益の315%に相当するほどの数値である。
ビットコイン・マイニングの収益源
マイナーの収益源は、ビットコインブロック報酬と取引手数料の2つである。
ビットコインブロック報酬は、ブロックチェーンシステムでブロックの生成に成功した際に獲得できる。ビットコインブロック報酬をブロックの先頭に追加することで、マイナーは報酬を請求できる。ただし、ビットコインブロック報酬は、約4年ごとに半減する。
ビットコインが導入されたばかりの頃は、マイニングによるブロック報酬は50ビットコインであった。2023年6月時点におけるブロック報酬は6.25ビットコインで、およそ10分ごとにマイナーに与えられている。次の報酬の半減期は2024年頃と予想されており、ブロック報酬は3.125ビットコインに減少する見込みだ。
日付 | ブロック番号 | ブロック報酬 | 1日あたりのBTC 生成数 |
BTC 開始価格 |
2009年1月3日 | 0 | 50 | 7,200 | N/A |
2012年11月28日 | 210,000 | 25 | 3,600 | 12ドル |
2016年7月9日 | 420,000 | 12.5 | 1,800 | 663ドル |
2020年5月11日 | 630,000 | 6.25 | 900 | 8,740ドル |
2024年予定 | 840,000 | 3.125 | 450 | N/A |
ビットコインの半減イベントは、約21万ブロックごとに発生し、2140年頃まで続く予定だ。その時点で、すべての2100万枚のコインがマイニングされていることになる。ブロック報酬が半減を繰り返し、ゼロになってしまった場合は、マイナーはトランザクションで発生する取引手数料を報酬として受け取ることになる。
なお取引手数料とは、ビットコインユーザーが自分のトランザクションをブロックチェーンに追加するためにマイナーへ支払うものである。ユーザーは取引手数料を支払うことで、トランザクションを優先的に早くブロックに含めることが可能に。そして、マイナーはこれら手数料を報酬として得ることになるのである。
2023年6月28日時点で、ビットコインの平均取引手数料は2.226ドルとなっており、1年前の1.168ドルから上昇。2021年4月にピーク時でおよそ62.79ドルに達した時のように、ビットコインの平均取引手数料はこの先急上昇する可能性を秘めている。
一方でビットコインの取引手数料は、以下の要因によって左右される。
- ネットワークの混雑度
- トランザクションのサイズ
- トランザクションの希望する承認時間
取引手数料は通常、トランザクションの量ではなくトランザクションのサイズ(バイト単位)に基づいて計算される。2023年6月28日時点においては、平均ブロックサイズは1.69メガバイトである。
ハッシュレートが高いマイナーであれば、新しいブロックをブロックチェーンに追加する際、ブロック報酬と取引手数料を受け取るチャンスが高まる。ハッシュレートが高いということは、マイニング機器が「ハッシュ処理」と呼ばれる暗号計算をより速く効率的に行っていること意味し、新しいブロックを見つける確率が上がるためだ。
では、利益やリターンを目的として活動するハッシャー(マイニングを行う人々)は、通常どのようにしてマイニングする仮想通貨を選定しているのか。答えは、財務的な基準。つまりマイニングによって得られる毎日の報酬額や各仮想通貨の市場価格に基づいて決定している、というものである。
2023年5月に公開されたハッシュレートインデックスのレポートによると、平均ハッシュ価格はペタハッシュ(PH)あたり82.23ドル/日(=0.00298BTC/PH/日)を記録。4月に記録した平均77.87ドル/PH/日(=0.00270BTC/PH/日)と比べると、5.6%上昇している。
参考として、ハッシュレートを測定するための単位を記載した、ハッシュレート計測表を以下に掲示する。
現在、マイナーは合計で33365ビットコイン(9億1850万ドル相当)を蓄積。彼らが4月に獲得した27743ビットコイン(8億8000万ドル相当)から、20%増加している。
報酬のうち、取引手数料による収益は5月時点で4540ビットコイン(1億2580万ドル相当)に到達。4月時点の812ビットコイン(2350万ドル相当)と比較すると、459%という顕著な伸びを示している。ビットコインマイニングによるマイナーの収益が大幅に増加していることは明らかだ。
国別のビットコインマイニングに関する統計データ
ビットコインマイニングには複雑なプロセスが伴う。そのプロセスには、中国や米国のような大国から、カザフスタンやロシアのような国々に至るまで、世界中のさまざまな国が参入している。
中国における水力発電を利用したビットコインマイニングとエネルギー消費
中国では、2021年6月にビットコインマイニングが禁止に。それ以前の中国はハッシュレートの生産量と電力消費量において圧倒的なリーダーであり、全ネットワークハッシュレートの約50%を占めていた。禁止措置は中国からのハッシュレートの移動に大きな影響を与え、中国のハッシュレートシェアは大幅に減少した。
ケンブリッジビットコイン電力消費指数(CBECI)によると、中国はピーク時には世界最大の仮想通貨マイニングハブとしての地位を保持。そして、ビットコインネットワークの総ハッシュレートの65%から75%のシェアを占めていたという。
しかし、2019年9月時点では75.5%であった中国の月平均世界ハッシュレートは、2021年9月には22.3%に低下。50%以上の大幅な減少を記録した。
中国のハッシュレートは地域によってシェア率が異なる。たとえば、中国の夏は雨季にあたり、特定の地域では豊富な水力発電が利用可能だ。したがって、夏場は電気代が安くなる。
マイナーは四川省のような豊富な水力資源を持つ地域に事業を移転または拡大を実施してきた。結果、2020年の雨季開始時点では、四川省は国内総マイニングパワーのうち14.9%のシェアであったが、ピーク時には61.1%まで上昇した。
対照的に、新疆ウイグル自治区は主に石炭発電に依存している。同エリアの雨季開始時のハッシュレートシェアは55.1%であったが、最低時には9.6%まで減少した。
米国のビットコインマイニングに関する統計データ
米国は、世界最大のビットコインマイニング産業を持つ国である。全世界のビットコインネットワークのハッシュレートのうち、38%以上を米国が占めている。
2020年1月から2022年1月にかけて、米国はビットコインマイニングの世界シェアを4.5%から37.8%と、大幅に増加させた。米国内で最もハッシュレートのシェア率が高かったのはジョージア州で、2021年12月には30.8%を記録。続いてテキサス州が2番目に高い11.2%を占め、ケンタッキー州が3番目に高い10.9%であった。
米国におけるビットコインマイニングの競争は、日々激化している。
一方で、ハワイ州では1ビットコインあたりのマイニングコストが5万4862.05ドルで、利益はマイナス2万4617.20ドルに。1ビットコインのマイニングに最も費用がかかる州として際立っている。
ビットコインのマイニングコストが高い州トップ10は、以下のチャートのとおり。
ルイジアナ州はトータルコストが1万4955.14ドルで、利益が1万5289.71ドル。最も費用対効果の高い州となっている。
ビットコインマイニングの流通に関する世界的な動き
中国からのマイニングパワーの移動より、世界のマイニング分布は変化。その結果、特にカザフスタンとロシアが、再分配されたハッシュレートの恩恵を受ける国となった。
ワールド・ポピュレーション・レビューが提供したデータに基づくと、2023年現在、ビットコインマイニングを行う主要国のハッシュレートは以下の通りである。
- 米国:35.4%
- カザフスタン:18.1%
- ロシア:11.23%
- カナダ:9.55%
- アイルランド:4.68%
- マレーシア:4.58%
- ドイツ:4.48%
- イラン:3.1%
中国でビットコインマイニングが禁止されて以降、マイナーの多くはカザフスタンに事業を移転した。カザフスタンが中国に地理的に近く、化石燃料が豊富であるためである。
2019年、カザフスタンの発電量の84%は化石燃料によって生成されていた。一方で、水力発電は12%、太陽光発電と風力発電は2%未満の生成。石炭は主に北部地域から供給されており、カザフスタンの発電の70%以上を支えている。
カザフスタンの電力は、多様な所有モデルを持つ155の発電所によって供給されている。2022年1月1日には、国内発電所の総設備容量は23957メガワットに達し、利用可能容量は19004メガワットとなった。2019年9月から2021年9月の期間においては、カザフスタンによるビットコインマイニングのグローバルシェアは、1.3%から24.3%という著しい上昇を記録した。
カザフスタンのビットコインマイニング事業は、安価な石炭、そしてエネルギー効率の高さによって繁栄してきた。さらに、カザフスタンのビットコインマイナーは、マイニングが成功するまで厳格なスケジュールに従っている。具体的には、2週間毎日、12時間シフトで作業を続けているのである。
一方でロシアメディアのコメルサントは、2023年4月にビットコインマイニングに関するレポートを公開。ロシアが米国に次いで、世界第2位のビットコインマイナーに浮上したことを報告した。
ロシア最大の仮想通貨マイニング企業であるビットリバーは、国内第3位の石油生産企業であるガスプロム・ネフチから電力供給を受けて、データセンターを運営している。このデータセンターでは、デジタル通貨を生産するために必要な電力を確保するために、石油ガスをエネルギー源として使用する予定である。
米国は3~4ギガワットのビットコインマイニング能力で大きくリードを維持しているが、2023年1~3月の間に、ロシアの発電能力は1ギガワットに達した。ロシアがカザフスタンを抜いた時期は、実は米国が州および連邦レベルで仮想通貨マイニングに対する税制・規制措置を実施した時期に重なる。これら措置により、米国内のビットコインマイニング業界の環境は以前よりも厳しくなっている。
ビットコインマイニングと他の資源コスト
ビットコインはスケーラビリティに課題を持つ。そのため、しばしば「デジタルゴールド」に例えられ、決済システムというよりは価値の保管手段として見られることが多い。この観点から、ビットコインマイニングは、実際の金の採掘と比較することができる。
現在、金は年間で約3531トンが採掘されており、8100万トンのCO2を排出。ビットコインマイニングと金の採掘の炭素強度を比較すると、前者の方が多くのCO2を排出していることがわかる。ただし、ビットコインマイニングの方は、現物の金の採掘には存在しない「マイニング手数料」が含まれていることには留意すべきであろう。
また、金の採掘はいつでも停止することができるが、ビットコインはアクティブなマイニングが必要不可欠。両者の比較には、このような重要な違いも存在する。
物質の採掘にかかるエネルギーコストは、採掘する物質や採掘方法によって大きく異なる。以下はその例となる。
- 米国地質調査所(USGS)によると、銅の採掘にかかるエネルギー消費量は、生産される銅1トンあたり0.2~1.5ギガジュールである。
- 銅の総使用量の約4分の3は、電力として使用されている。
- アルミニウム 1 トンを生産するために、約1万7000キロワット時の電力を消費する。
- アルミニウムの生産に必要な電気エネルギーは、通常火力発電所から供給される。この時、火力発電所の最大効率は約30%である。
また、米国の電力会社と独立系発電事業者が、2021年において1キロワット時の発電に使用した石炭、天然ガス、石油燃料の年間平均使用量は以下の通りだ。
- 石炭:1.12ポンド/kWh
- 天然ガス:7.36立方フィート/kWh
- 石油液体:0.08ガロン/kWh
- 石油コークス:0.82ポンド/kWh
同じ電力量の使用でも、燃料の種類によってその消費量は大きく異なる。
よくある質問
Q:ビットコインマイニングでは、どれくらいのエネルギーが消費されるのか?
→A:ビットコインマイニングは、世界のエネルギー消費量のうち約0.5%を消費している。
Q:ビットコインマイニングの時価総額は?
→A:ビットコインマイニングの時価総額は81.1億ドルである。