2024年も暗号資産(仮想通貨)が激しい値動きを見せる中、USDTが注目を浴びています。USDT(テザー)とは米ドルに連動したステーブルコインであり、価格の安定性が特徴です。ボラティリティの大きい仮想通貨マーケットにおいて、独自の強みを持ったコインと言えるでしょう。
本記事ではUSDTの特徴、メリットやデメリット、購入方法などを詳しく解説していきます。USDTを日本円に換金する方法や、USDTが抱える危険性についても触れるため、投資をお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
USDT(テザー)とは?
USDT(テザー)とは、価値が米ドルに連動する仮想通貨のことです。別名「テザーコイン」と呼ばれることもあります。USDTは仮想通貨の中でも特殊な「ステーブルコイン」として設計されており、1USDTが1米ドルと同等の価値を持つことを目指しています。
ステーブルコインとは、価値の安定性を目指して設計された仮想通貨です。通常の仮想通貨はボラティリティが高く大きな価格変動を起こしますが、ステーブルコインは特定の資産(米ドルなど)に価値を連動させて安定性を確保しようとしています。変動性を抑えつつ従来の金融システムとブロックチェーン技術を橋渡しすることで、国際送金や取引、デジタル決済など様々な用途に活用されています。
USDTの主な目的は、スムーズな資金移動を実現しながら、仮想通貨市場の価格変動リスクを抑えることです。現在、最も普及しているステーブルコインの1つであり、多くの取引所で売買することが可能です。仮想通貨の1000倍銘柄などボラティリティが大きい資産に対してのリスクヘッジにも使用できるため、重要な存在と言えるでしょう。
項目 | USDT(テザー)の詳細 |
仮想通貨 | USDT |
現在価格 | 0.9995ドル |
時価総額 | 1196億ドル |
流通供給量 | 1197億USDT |
最大供給量 | 上限なし |
過去最高値 | 1.22ドル |
過去最安値 | 0.5683ドル |
USDT(テザー)の特徴・仕組み
仮想通貨のUSDT(テザー)は、変化の激しい仮想通貨市場において重要な役割を果たしています。USDTの持つ代表的な特徴は、以下のとおりです。
- 価値が安定している
- 高い流動性と利用可能性がある
- 複数のブロックチェーンで展開している
価値が安定している
USDTの最も重要な特徴は「USDTの価値が米ドルに連動している」ということです。テザー社は、1USDTが常に1米ドルと同等の価値を持つよう設計されています。安定性が担保されることにより、USDTは変動の激しい仮想通貨マーケットにおいて、避難所のような役割を果たしているのです。
投資家の中には、ビットコインやイーサリアムなどの価格が急落する際に、資産をUSDTに移すことでリスクを回避しようとする人々も存在します。為替レートの変動を気にせずに取引を行うことができるため、価値の安定性は国際送金や商取引にも適していると言えるでしょう。ビットコインETFの承認などにより、リスクを抑えながら仮想通貨に投資する手段も生まれつつありますが、USDTの安定性は依然として投資家にとっての大きなメリットと言えます。
高い流動性と利用可能性がある
USDTは仮想通貨市場において、最も広く使用されているステーブルコインの一つです。多くの仮想通貨取引所でサポートされており、多数の取引ペアで基軸通貨として機能しています。ただしUSDTは国内取引所では売買できず、海外取引所を利用する必要があるため注意が必要です。
USDTは海外取引所で幅広く採用されることにより、非常に高い流動性を保っています。必要なタイミングですぐに他の仮想通貨や法定通貨に交換することができるため、市場全体の効率性を高めていると言えるでしょう。
複数のブロックチェーンで展開している
USDTはERC20(イーサリアムチェーン)に代表される複数のブロックチェーンに対応しています。ユーザーは自身のニーズに最も適したネットワークを選択できるため、USDTは幅広いシーンで活用できる柔軟な仮想通貨となっているのです。
例えばイーサリアム上のUSDTは、多くのDeFi(分散型金融)プロジェクトとの互換性がありますが、取引手数料が高くなる傾向があります。一方でトロン上のUSDTは、より低コストで高速な取引が可能です。マルチチェーン戦略により、USDTはより多くのユースケースに対応し、さまざまなシステムで広く利用されています。
USDT(テザー)を買うメリット
USDTへの投資は、ユーザーに様々なメリットを提供します。USDTの具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 価値の安定性による資産保護
- 多様な取引の選択肢を提供
- 迅速かつ低コストで国際送金が可能
価値の安定性による資産保護
USDTの最大のメリットは、価格の安定性です。米ドルと1:1で価値が連動するよう設計されているため、ビットコインが今後下落しても、大幅な価格変動が少ないのが特徴です。他のアルトコインやミームコインは価格変動が大きいため、保有しているだけで価値が大きく変わってしまう可能性もあります。
一方、USDTは価値が安定しているため、資産としてより実用的と言えるでしょう。仮想通貨プレセールなど変動性が高い銘柄のリスクヘッジとしても、USDTの安定性は大きな武器となります。企業や個人の国際送金においても、為替レートの変動リスクを最小限に抑えられるため、グローバルな取引を円滑に進めることができます。
多様な取引の選択肢を提供
USDTは、多くの海外取引所で基軸通貨として採用されており、非常に高い流動性を誇ります。大口取引でも価格への影響が比較的小さく、スリッページを抑えることが可能です。ただし、現状としてはUSDTを日本円で購入できる取引所は存在しないため、日本から購入する場合も海外取引所を利用する必要があります。
USDTは多くの仮想通貨とのトレーディングペアが用意されているため、他の仮想通貨への交換も容易です。さらにUSDTは法定通貨(特に米ドル)との交換も簡単です。法定通貨と仮想通貨の障壁を低くし、仮想通貨の実用性を高めている存在と言えるでしょう。取引における利便性は、仮想通貨トレーダーにとって非常に重要な要素となっています。
迅速かつ低コストで国際送金が可能
USDTは、国際送金においても大きな役割を果たしています。従来の銀行システムを使用した国際送金は、送金にかかる時間や高額な手数料が課題となっていました。一方USDTを利用すれば、世界中どこにいても、24時間365日、迅速かつ低コストで資金を移動させることが可能です。
海外送金に特化した仮想通貨は他にもありますが、USDTは価格安定性や高い流動性を併せ持つ通貨として、独自の価値を提供しています。
USDT(テザー)を買うデメリット・危険性
USDTは様々なメリットを持つ便利な通貨ですが、一方でUSDTには危険性も存在します。USDTのデメリット・危険性は、以下のとおりです。
- 中央集権化によるリスク
- 規制強化によるリスク
- インフレーションのリスク
中央集権化によるリスク
USDTは中央集権的な組織(テザー社)によって管理されており、分散型を基本とする多くの仮想通貨とは異なるシステムを採用しています。USDTの価値はテザー社に依存する部分が大きいため、USDTの危険性の1つと言えるでしょう。
過去には、1USDTに対して本当に1米ドルの裏付けがあるのかという疑問や、準備金の構成に関する不透明さが指摘された例もあります。テザー社に対する不信感は、USDTへの信頼を揺るがす可能性があり、最悪の場合USDTの価格が急落する危険性もあります。
規制強化によるリスク
ステーブルコインに対する規制の強化が世界各国で検討されており、USDTも対象となっています。規制当局がUSDTの発行や流通に制限を加えた場合、ユーザーはUSDTを使用できなくなったり、保有するUSDTの価値が影響を受けたりする危険性があります。
規制強化によって取引所がUSDTの取り扱いを中止する事態も想定され、ユーザーの資産が凍結される恐れもあります。規制リスクはユーザーの資産に直接的な影響を及ぼす危険性を秘めているため、常に規制に関する最新情報を追いかけることが重要です。
インフレーションのリスク
USDTは米ドルと1:1で価値連動することを目指しているため、米ドル以上に価値が上昇することはありません。安定性を示す反面、インフレーションに対して脆弱であることを意味し、長期保有した場合に実質的な購買力が低下する可能性があります。
特に、近年のような高インフレ環境下では、USDTを保有し続けることで資産価値が目減りする可能性が高くなります。また他の投資商品と比較して、USDTからは利子や配当などの追加的なリターンを得ることが難しいため、機会損失のリスクも避けられません。USDTの価格が安定している分、長期的な資産運用を考えるユーザーにとってはデメリットとなる可能性があります。
USDT(テザー)の将来性と今後の見通し
USDTの将来性や今後の見通しは、仮想通貨マーケットの発展と規制環境の変化に大きく左右されます。現在、USDTは主要な基軸仮想通貨としての地位を確立しており、短期的には重要な役割を続けると予想されます。時価総額ランキングではビットコイン、イーサリアムに次ぐ3位に位置しているため、投資家からの信頼性も厚いと言えるでしょう。仮想通貨取引やリップル(XRP)をはじめとした国際送金の需要が増加する中で、USDTの利用価値はますます向上すると予想されます。
今後、ブロックチェーン技術や分散型金融(DeFi)、NFTなどの発展に伴い、USDTが新たな用途を見出す可能性も考えられます。スマートコントラクトとの連携やクロスボーダー取引の効率化など、技術革新によって新たな価値を創出していくかもしれません。
一方で、長期的な視点では課題も存在します。規制当局による監視の強化、中央集権的な運営のリスク、インフレに対する危険性など、注視すべき問題は複数あります。USDTの将来性は、規制への対応力、技術革新への適応能力、そして市場の信頼維持にかかっていると言えるでしょう。
USDT(テザー)の購入方法・買い方
海外取引所で口座開設
USDTを日本円のまま取引所で取り扱うことはできないため、海外の取引所で口座を開設する必要があります。取引所の公式サイトにアクセスし、新規アカウント登録を行いましょう。メールアドレスの登録、個人情報の入力、本人確認書類(パスポートや運転免許証など)の提出が必要となるケースが多いです。口座開設には数日かかる場合もあるため、検討中の方は早めに申し込みましょう。購入用の資金を入金
口座開設が完了したら、USDTを購入するための資金を入金します。銀行送金、クレジットカード、デビットカード、他の仮想通貨からの送金などの複数の方法が用意されているケースが多いです。手数料や限度額は入金方法によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。取引を選択
購入方法はビットコインの買い方などと同様です。資金が口座に反映されたら、USDTを購入するための取引ペアを選択します。例えば、米ドルでUSDTを購入する場合は「USDT/USD」、ビットコインは「USDT/BTC」などのペアを選びます。取引ペアを選択したら、購入するUSDTの数量と価格を入力します。取引を実行
注文方法を指定し、取引を実行しましょう。市場価格で即時に購入する「成行注文」や、特定の価格で購入する「指値注文」など、好みの注文タイプから選択できます。取引が成立すると、購入したUSDTが口座に反映されます。購入したUSDTは、仮想通貨ウォレットで保管できます。USDTのウォレットとしておすすめなのは、メタマスクです。USDTアドレスの作り方については、仮想通貨ウォレット内でネットワークを指定すれば、自動的に生成されます。
USDT(テザー)の購入におすすめの取引所
USDTの取引所は日本に存在しないため、USDTを購入するには海外取引所で取引する必要があります。おすすめの仮想通貨取引所は、以下のとおりです。
USDT(テザー)を日本円に換金する方法
-
USDTは日本の取引所で直接取り扱えないため、USDTと日本円との交換には複数のステップが必要となります。USDTを日本円にする方法は、以下のとおりです。
海外取引所でUSDTを交換
日本のコインチェックなどではUSDTを取り扱っていないため、まずは国内取引所で使える仮想通貨(ビットコイン、イーサリアムなど)に交換します。海外取引所にログインし、交換する仮想通貨との取引ペア(例:USDT/BTC)を選択しましょう。金額を入力し、「成行注文」または「指値注文」を選んで取引を実行します。海外取引所では、USDTをドルに換金することもできます。仮想通貨を日本の取引所に送金
DMMビットコインなどの国内取引所にログインします。入金用ウォレットアドレスに、ステップ1で購入した仮想通貨を送金してください。送金手数料とネットワークの混雑状況に注意し、入金の完了を待ちましょう。仮想通貨を日本円に交換
日本の取引所で仮想通貨の入金が確認されたら、取引画面に移動します。仮想通貨と日本円のペア(例:BTC/JPY)を選択し、売却注文を出します。取引が成立すると、売却した仮想通貨の代金が日本円で口座に反映されます。日本円を出金
取引所の日本円出金画面に移動します。事前に登録した銀行口座情報を確認し、出金したい金額を入力してください。出金手数料を考慮しながら金額を決定し、出金手続きを実行します。即時に振り込まれる場合もありますが、通常は1〜3営業日程度で指定した銀行口座に日本円が入金されます。日本円に両替する際は、USDTの税金についても考慮する必要があるため注意が必要です。
まとめ
USDT(テザー)について解説しました。USDTとは、価値が米ドルに連動するよう設計された、現在もっとも普及している仮想通貨型ステーブルコインです。USDTを保有することで、仮想通貨市場の高い変動性から資産を守りつつ、迅速な取引や送金ができます。ソラナミームコインなど変動の大きい仮想通貨が多い中、貴重な存在と言えるでしょう。
一方でUSDTには危険性もあるため、注意が必要です。規制リスクや中央集権リスクなどが存在するため、取引する際には情報収集を怠らないようにしましょう。また日本国内の取引所での取り扱いがないため、USDTを日本円に換金する際には一定の手順を踏む必要があります。USDTの危険性やデメリットを理解した上で、購入するようにしてください。