ビットコインETFとは

信頼の理由

2024年1月に米国でビットコイン現物ETF(上場投資信託)が承認され、大きな話題となりました。ビットコインETFの承認は、仮想通貨マーケットだけでなく、世界の経済にもインパクトを与える可能性があります。

本記事では、ビットコインETFの詳細についてわかりやすく解説します。ビットコインETFとは何か、ビットコインETFはどこで買えるのか、ビットコインETFを日本で買うことは可能なのか、といった疑問が全て解消するでしょう。リスクや注意点にも触れるので、検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

ビットコインETF(上場投資信託)とは?

2024年1月、米国証券取引委員会(SEC)がビットコイン(Bitcoin)の現物ETFを承認しました。ビットコイン現物ETFの承認は、暗号資産(仮想通貨)市場に大きな転換をもたらす可能性があります。従来の金融システムと仮想通貨市場の融合が加速し、投資家はビットコインへのスムーズなアクセスが可能になったのです。

本章では、ビットコインETFの仕組み、特徴について詳しく解説します。なお、本記事で解説するビットコインETFとは「ビットコイン現物ETF」のことを指します。ビットコイン先物ETF、仮想通貨ETFとは違う商品のため、混同しないよう気をつけてください。

ビットコイン「現物ETF」と「先物ETF」の違い
ビットコインの現物ETF ビットコインの先物ETF
運用方法 実際のビットコインを直接保有して運用します。 ビットコイン先物契約(将来の特定日に、予め決めた価格でビットコインを売買する契約)に投資します。
価格連動性 ビットコインの実際の市場価格にほぼ完全に連動します。 ビットコイン先物の価格に連動しますが、実際のビットコイン価格との乖離が生じる可能性があります。
承認タイミング 2024年1月に米国で承認されました。 2021年10月に米国で承認され、現物ETFより先に市場に登場しました。
リスク特性 ビットコインの価格変動リスクを直接反映します。 先物特有のリスク(コンタンゴやバックワーデーションなど)が加わるケースがあります。
長期保有の適性 長期保有に適しています。 先物契約の継続的な更新(ロールオーバー)が必要なため、長期保有には向いていません。
ビットコインETFと仮想通貨ETFの違い
ビットコインETF 仮想通貨ETF
投資対象 ビットコインのみに投資します。 ビットコインを含む複数の仮想通貨に投資します。
分散度 単一の仮想通貨(ビットコイン)に集中投資するため、分散度が低くなります。 複数の仮想通貨に分散投資するため、リスクが分散されます。
リスク特性 ビットコインの価格変動に直接連動するため、ビットコイン特有のリスクに集中します。 複数の仮想通貨に投資するため、個別の仮想通貨のリスクが分散されますが、仮想通貨市場全体のリスクは残ります。
パフォーマンスの特徴 ビットコインの価格動向を反映します。 より広い仮想通貨市場の動向を反映し、個別の仮想通貨の極端な変動が緩和される可能性があります。
投資目的 ビットコイン特有の成長や価値に注目する投資家向けです。 仮想通貨市場全体の成長に期待する投資家向けです。
運用の複雑さ 単一の資産を追跡するため、比較的単純です。 複数の仮想通貨を管理するため、運用がより複雑になります。

ビットコインETFの特徴・仕組み

ビットコインETFの証券取引所

ビットコインETFが承認されたことで、投資家はビットコイン連動の上場投資信託を、通常の株式と同様に証券取引所で取引できるようになりました。ビットコインETFの具体的な特徴と仕組みは、以下のとおりです。

  • 従来の証券取引所での取引:ビットコインETFは、通常の株式と同様に証券取引所で売買できます。
  • ビットコイン価格への連動:ETFの価値はビットコインの市場価格に連動して変動します。
  • 専門家による運用:ETFは専門の運用会社によって管理されます。
  • 規制された環境での投資:ビットコインETFは証券取引委員会(SEC)などの規制当局の監督下にあります。
  • 高い流動性:証券取引所での取引により、高い流動性が確保されています。投資家は通常の営業時間内であれば、いつでも簡単に売買を行うことができます。
  • 間接的なビットコイン投資:投資家は直接ビットコインを購入・保管する必要がなく、デジタルウォレットの管理やセキュリティの問題を心配する必要がありません。

ビットコインETFは、従来の証券取引所で取引される革新的な金融商品です。投資家は既存の証券口座を使って、通常の株式と同じように売買することができます。仮想通貨に不慣れな投資家でも、仮想通貨のおすすめ銘柄であるビットコインに、スムーズにアクセスできるようになりました。

ビットコインETFは、ビットコイン(BTC)の市場価格に連動したETFなので、投資家は直接ビットコインを所有せずに、価格変動から利益(損失)を得る機会を持つことができます。ETFは専門の運用会社によって管理されているため、投資家は複雑な技術的側面を心配する必要もありません。

ビットコインETFは、証券取引委員会(SEC)などの規制当局の監督下にあるため、投資家は安全な環境でビットコイン関連の投資を行うことができます。ミームコインなどの仮想通貨を取引する場合と比べても、安全に取引できると言えるでしょう。さらに、証券取引所では高い流動性が確保されており、通常の営業時間内であればいつでも簡単に売買を行うことができます。

間接的なビットコイン投資の形態により、投資家はデジタルウォレットの管理やセキュリティ問題を心配する必要がなくなりました。上記の特徴と仕組みにより、ビットコインETFは従来の投資家にとってより身近で理解しやすい仮想通貨投資の手段となっています。

ただし、ビットコイン市場特有の高いボラティリティなどのリスクは依然として存在するため、投資を検討する際は十分な注意が必要です。

ビットコインETFの承認はいつ?

ビットコイン現物ETFの承認は、2024年1月10日に米国証券取引委員会(SEC)によって行われました。承認の詳細は、以下のとおりです。

  • 承認日:2024年1月10日
  • 承認機関:米国証券取引委員会(SEC)
  • 取引開始日:承認の翌日である2024年1月11日から取引が開始。
  • 承認タイプ:現物ビットコインETFの承認(以前に承認されていた先物ETFとは異なる)。
  • 承認の影響:ビットコインETFの承認は、ビットコイン価格に大きな影響を与え、多くの投資家の注目を集めました。

上記の承認は米国市場に限定されたものであり、日本を含む他の国々では、ビットコインETFの承認状況や取引可能性が異なる点に注意が必要です。米国では全部で11種類のビットコインETF商品が承認されました。

承認されたビットコインETFの銘柄一覧
  • Grayscale Bitcoin Trust (GBTC)
  • iShares Bitcoin Trust (IBIT) by BlackRock
  • Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund (FBTC)
  • Invesco Galaxy Bitcoin ETF (BTCO)
  • ARK 21Shares Bitcoin ETF (ARKB)
  • Bitwise Bitcoin ETF (BITB)
  • VanEck Bitcoin Trust (HODL)
  • WisdomTree Bitcoin Fund (BTCW)
  • Valkyrie Bitcoin Fund (BRRR)
  • Franklin Bitcoin ETF (EZBC)
  • Hashdex Bitcoin ETF (DEFI)

ビットコインETF(上場投資信託)はどこで買える?日本で買う方法はある?

ビットコインETFのイメージ

ビットコインETFへの関心が高まる中、「ビットコインETFはどこで購入できるのか」「日本でも買えるのか」という疑問を持つ方も多いと思います。ビットコインETFの買い方は、以下のとおりです。

ビットコインETFの買い方

ビットコインETFは現在、米国の証券取引所でのみ取引可能です。投資家がビットコインETFを購入するためには、米国株式に投資可能な証券口座が必要となります。

米国外でのビットコインETFの上場は現時点では行われておらず、日本を含む他の国々の投資家にとっては、直接的なアクセスが制限されている状況です。将来的に他国でも同様のETFが承認される可能性はありますが、現時点では不確定です。

ビットコインETFを日本で買うのは難しい

ビットコインETFは米国で認可されましたが、日本ではまだ正式な承認を受けていません。現時点では、楽天証券などの日本の証券会社を通じてビットコインETFを直接購入することはできない状況です。日本での承認の見通しは未定ですが、もし認可されれば、国内の証券会社を介してビットコインETFへの投資が可能になると考えられます。

海外の証券口座を利用してビットコインETFに投資する選択肢も存在しますが、税務上の複雑さや手続きの煩雑さなど、一般的にはハードルが高いと言えるでしょう。海外でのビットコインETF投資を検討する場合は、金融の専門家に相談し、適切なガイダンスを受けることが賢明です。

ビットコインETF(上場投資信託)のメリット

ビットコインETFは、投資家や仮想通貨マーケットに様々なメリットをもたらします。具体的なメリットは、以下のとおりです。

  • アクセスの容易さ
  • セキュリティの向上
  • 機関投資家からの資金流入

アクセスの容易さ

ビットコインETFは、既存の証券取引所で取引できるため、投資家は仮想通貨取引所の口座を開設する必要がありません。通常の株式と同様に、既存の証券口座を通じてビットコインに投資できるため、多くの投資家にとってビットコイン市場への参入障壁が大幅に低下します。

ビットコインマイニングのような専門的な知識や行動な技術を必要とせず、ウォレットの作成など面倒な手続きも不要なため、初心者の投資家にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

セキュリティの向上

ビットコインETFは、ETF商品として証券取引所に上場しているため、セキュリティや投資家保護が一定の水準を満たしていると言えます。投資家は直接ビットコインを保有する必要がないため、ハッキングや詐欺などのリスクが軽減されます。

仮想通貨に懐疑的だった投資家も安心感を得られ、投資しやすくなります。ソラナミームコインを含む仮想通貨業界には、まだまだ詐欺や不正も多いため、安全性の向上も重要な視点です。

機関投資家からの資金流入

ビットコインETFの承認により、今まで以上に機関投資家の関心を招き、多額の資金がビットコイン市場に流れる可能性があります。証券取引所で取り扱われるようになったことで、コンプライアンス上の懸念が軽減され、大規模な資金がビットコイン関連資産に流入する可能性が高まっているのです。

資金流入は、ビットコインの需要増加と価格上昇につながる可能性があり、市場全体の流動性と安定性の向上にも寄与すると予想されています。ただし、資金流入が市場にどのような影響を与えるかは不確実であり、投資家は慎重に市場の変化を見守る必要があります

ビットコインETF(上場投資信託)のデメリット

仮想通貨の上場投資信託であるビットコインETFは便利なシステムですが、一方でデメリットも存在します。ビットコインETFの代表的なデメリットは、以下のとおりです。

  • コスト面の課題
  • 取引時間の制約
  • ビットコイン資産を保有できない

コスト面の課題

ビットコインETFの投資には、様々な費用が伴います。運用管理費、取引手数料、そして上場や監査に関連する諸経費が含まれる可能性があります。

上記の費用は、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を直接取引する場合には発生しないコストとなるため、投資を行う際は注意が必要です。ETFのコストは通常の投資信託と比べると安上がりのケースが多いですが、総合的な投資効率を考慮して判断することが重要です。

取引時間の制約

ビットコインETFは証券取引所で売買されるため、取引は営業時間内のみ可能です。ビットコインを含む仮想通貨は24時間取引が可能であるため、仮想通貨取引所でのビットコイン直接取引と比較すると柔軟性に欠けると言えるでしょう。

急激な市場変動が起きた際にも迅速な対応ができない可能性があり、投資家にとってリスクとなり得ます。

ビットコイン資産を保有できない

ビットコインETFに投資しても、実際のビットコインを所有することにはなりません。ビットコインETFは単にビットコインの価格変動に連動する金融商品であり、ビットコイン自体が持つ機能や特性を利用することはできないのです。

例えば、ビットコインネットワークを使用した直接送金や、ブロックチェーン上での取引確認といった操作は行えません。

ビットコインETF(上場投資信託)で利益を上げるコツ

ビットコインETFの証券取引所

日本では現時点でビットコインETFを取引することはできませんが、将来的には取引できるようになる可能性はあります。ビットコインETFをうまく活用し、上手にリターンを得られるよう工夫しましょう。ビットコインETFで利益を上げるためのコツは、以下のとおりです。

  • 長期的視点での投資
  • 市場動向と規制環境の把握
  • リスク管理と分散投資

長期的視点での投資

ビットコインは短期的に大きな変動を示すことが多いため、長期的な視点で投資することが重要です。ビットコインETFを通じて、市場の一時的な変動に惑わされずに、仮想通貨市場の長期的な成長可能性に投資することができます。

定期的に一定額を投資するドルコスト平均法を活用する方法がおすすめです。仮想通貨エアドロップなどで一時的なリターンを狙うのではなく、市場の変動リスクを軽減しつつ、長期的な利益を追求できる可能性があります。

市場動向と規制環境の把握

ビットコイン市場は、技術革新、規制の変更、マクロ経済の動向など、様々な要因に影響を受けます。複数の要因を常に追跡し、理解することが重要です。例えば、新しい規制の導入や主要国の政策変更は、ビットコインの価格に大きな影響を与える可能性があります。

また環境問題にも課題を抱えており、ビットコインマイニングのエネルギー消費データでも、ビットコインが抱える問題点が指摘されています。信頼できるニュースソースや専門家の分析を定期的にチェックし、市場の変化に備えることで、より適切な投資判断を行うことができるでしょう。

リスク管理と分散投資

ビットコインETFは、仮想通貨市場の高いボラティリティを反映するため、適切なリスク管理が不可欠です。投資可能な資金の一部のみをビットコインETFに配分し、残りを他の資産クラス(株式、債券、不動産など)に分散投資することをおすすめします。

またビットコイン以外のアルトコインやプレセール仮想通貨などに投資することで、ビットコインに依存するリスクを軽減できます。自己のリスク許容度を正確に評価し、適切な投資配分を行うことが重要です。

ビットコインETF(上場投資信託)の今後と将来性

ビットコインETFは、世界の通貨システムを大きく変える可能性を秘めています。2024年1月のビットコイン現物ETFの承認は、アルトコインを含む仮想通貨が広く受け入れられるための大きな一歩と言えるでしょう。ビットコインの今後にも、プラスの影響を与える可能性が高いです。

ビットコインETFの新しい投資手段により、機関投資家や個人投資家がよりシームレスな環境でビットコイン市場に参入できるようになりました。規制上の制約から直接的なビットコイン投資を避けてきた年金基金や保険会社などの大手機関投資家の参入が促進されることで、大規模な資金流入が起こる可能性があります。

またビットコインETFの承認により、ICOコインを含む仮想通貨が、従来の金融資産と同様に扱われる傾向が強まる可能性があります。株式や不動産などと同様の認知度、信頼度を獲得すれば、長期的には市場にポジティブな影響を与えるでしょう。投資家の選択肢が広がり、仮想通貨市場全体の発展を促進する可能性があります。

一方で、ビットコインETFの今後には、リスクや注意点もあります。仮想通貨市場特有の高いボラティリティ、世界的な規制の変化、コストや取引時間の制約などが、ETFの価格にどのような影響を与えるか注視する必要があります。過去には1人のビットコインマイナーが16万ドルを稼いだ話もありますが、ビットコイン価格の今後は不透明なため、注意が必要です。

ビットコインETFは仮想通貨、さらには世界の金融市場を変革する可能性を秘めているものの、将来は不確定です。投資にはリスクが伴うため、ビットコインETFに投資する際は、自身のリスク許容度を見極めた上で、慎重な判断を行うようにしましょう。

まとめ

ビットコインETFについて解説しました。ビットコインETFは、仮想通貨ビットコインの上場投資信託として、2024年1月に米国で承認されました。今後、仮想通貨が世界に受け入れられるためにも、重要な出来事と言えるでしょう。

ビットコインETFは現在はまだ日本で取引することはできませんが、いずれ国内でも承認される可能性があります。投資を行う際はビットコインETFやビットコインキャッシュなどについて再度調べた上で、慎重な判断を行うことが重要です。本記事をブックマークの上、投資を行う際には読み返してみてください。

ビットコインETF(上場投資信託)に関する、よくある質問

ビットコインETF(上場投資信託)は日本で買える?

ビットコインETF(上場投資信託)は楽天証券で購入できる?

ビットコインETF(上場投資信託)が承認されたのはいつ?

ビットコインETF(上場投資信託)が、日本で買えるようになるのはいつ?

ビットコインETF(上場投資信託)は儲かる?

ビットコインETF(上場投資信託)は課税対象になる?

ビットコインETF(上場投資信託)の価格はいくら?

参考記事

主な暗号資産ETF採用不可銘柄一覧(SBI証券)

関連用語

shogo
Editor
shogo
編集者

Techopedia(テコペディア)のテック&仮想通貨部門ライター。株式と仮想通貨投資を2021年より開始し、その知見を活かし2024年よりライターとしてジョイン。個人では月間最高8万PV超え…...