イーサリアム(ETH)とは

信頼の理由

イーサリアムとは、スマートコントラクト機能を持つブロックチェーン技術を基盤とした分散型アプリケーション(DApps)のためのプラットフォームです。また、イーサ(ETH)は時価総額でビットコインに次いで第2位を占める暗号資産(仮想通貨)としても知られています。

本記事ではイーサリアム(ETH)の特徴、仕組み、最新動向、そして将来性や今後の見通しまで網羅的に解説します。初心者の方でもわかりやすいようにまとめているため、ぜひ最後までご覧ください。

イーサリアム(ETH)とは

広大な都市に浮かび上がるイーサリアム

イーサリアム(ETH)とは、プログラマーである「ヴィタリック・ブテリン」によって考案された、ブロックチェーン技術を利用した分散型プラットフォームです。

2015年7月30日に正式にローンチされ、ビットコインに次ぐ時価総額を持つ仮想通貨プロジェクトとして知られています。

イーサリアムの最大の特徴は、単なるおすすめ仮想通貨としての機能だけでなく、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムを実行できる点にあります。

イーサリアムネットワーク上で使用される仮想通貨イーサ(ETH)は、ネットワーク上でのトランザクション手数料の支払いや、様々な分散型アプリケーション(DApps)内での決済に使用されます。

イーサリアム(ETH)の特徴

イーアリアムと幻想的な空間

イーサリアム(ETH)の主な特徴は以下の3点です。

  • スマートコントラクト機能
  • 分散型アプリケーション(DApps)のプラットフォーム
  • トークン規格「ERC」の採用

それぞれ解説していきます。

スマートコントラクト機能

スマートコントラクト機能とは、ブロックチェーン上で自動的に契約を実行するプログラムのこと。

例えると、自動販売機のようなものです。自販機はお金を入れボタンを押すと、自動的に商品が出てきます。それと同じように、スマートコントラクトは一定の条件が満たされると自動的に契約を実行するようプログラムされています。

分散型アプリケーション(DApps)のプラットフォーム

イーサリアムは、中央管理者不要のアプリケーション(dApps)を開発・運用できるプラットフォームとして機能します。

例えば、「Uniswap」というdAppsがありますが、これは銀行や証券会社を通さずに、ユーザー同士が仮想通貨を直接交換できる仕組みです。取引のルールはスマートコントラクトというコンピュータープログラムで定められており、自動的に実行されます。そのため、人間の仲介者が不要で、24時間365日いつでも取引ができます。

イーサリアムを使えば、従来とは全く異なる新しいサービスを作ることが可能です。

トークン規格「ERC」の採用

イーサリアムでは、誰でも簡単に独自のデジタルトークンを作れます。これは、ERC-20やERC-721というトークン規格に従って作られます。

  • ERC-20:互換性のあるトークンを作るのに使われます。様々なウォレットや分散型取引所と互換性があり、広く採用されています
  • ERC-721:互換性のないトークンを作るのに使われます。NFT(非代替性トークン)の概念を確立し、デジタル資産をトークン化するのに採用されます。

イーサリアムはビジネス、芸術、ゲームなど、様々な分野で新しいアイデアを形にできるプラットフォームとして注目されています。また、様々なミームコインの基盤技術になっています。

イーサリアム(ETH)の仕組みと技術

コンピュータチップの中にあるイーサリアム

続いて、最も有名なアルトコインでもあるイーサリアム(ETH)の仕組みや技術について簡単にご紹介します。

イーサリアム(ETH)のブロックチェーン技術

イーサリアムのブロックチェーン技術は、分散型のネットワーク上で動作する公開台帳システムです。各ブロックには、トランザクション情報やスマートコントラクトの実行結果などが記録されます。

イーサリアムはGHOSTプロトコルを採用しており、孤立ブロック(アンクルブロック)も部分的に報酬の対象とすることで、中央集権化を防ぐ工夫がなされています。

スマートコントラクトの仕組み

スマートコントラクトとは、イーサリアムの最も重要な特徴の一つ。プログラムで定義された条件が満たされると自動的に実行される契約のことを指します。

スマートコントラクトは、Solidityなどの専用言語で記述され、イーサリアムのブロックチェーン上にデプロイ(配置)されます。一度デプロイされたスマートコントラクトは変更ができず、定義された条件に従って自動的に実行されます。この仕組みによって、中間者を介さない直接的な取引や、複雑な条件付き取引が可能になります。

ガス代(Gas)と手数料の仕組み

イーサリアムネットワーク上でトランザクションを実行する際には、「ガス代」という手数料を支払う必要があります。ガス代とは、計算リソースの消費量を測る単位であり、より複雑な操作ほど多くのガスを必要とします。

ユーザーは、トランザクションを送信する際にガス価格を設定でき、高いガス価格を設定するほど優先的に処理されます。この仕組みにより、ネットワークの混雑状況に応じて柔軟に手数料を調整することができます。

イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の違い

過去に1000倍仮想通貨となったイーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の主な違いは以下のとおりです。

イーサリアム(ETH) ビットコイン(BTC)
用途 スマートコントラクトの実現、分散型アプリケーションの開発と運用 中央管理者不要の決済システムの提供
技術 スマートコントラクト機能が強み スマートコントラクト機能が限定的
発行方法 Proof of Stake(PoS) Proof of Work(PoW)
供給量 発行上限なし 2100万BTCの発行上限あり

用途の違い

ビットコインとイーサリアムは、どちらもブロックチェーン技術を基盤としていますが、その目的と機能には大きな違いがあります。

ビットコインは主に「デジタルゴールド」と呼ばれるように価値の保存手段として設計されており、中央管理者不要の決済システムを提供することが目的です。

一方、イーサリアムは「プログラム可能なお金」や「ワールド・コンピュータ」と呼ばれることがあり、スマートコントラクトを通じて複雑な取引やアプリケーションの実行を可能にすることを目的としています。

技術的な違い

イーサリアムとビットコインの技術的違いは、スマートコントラクト機能の実行範囲です。

イーサリアムは、ブロックチェーン上で高度なプログラムを動かせるため、複雑な取引ルールや自動処理を実現できるのが特徴です。また、イーサリアムはより短いブロック生成時間(約15秒)を持っており、ビットコイン(約10分)と比べて取引の確認がより速く行われます。

発行方法と供給量の違い

ビットコインは、その発行量に上限(2100万BTC)が設定されており、約4年ごとに報酬が半減する「半減期(ハービング)」というメカニズムを持っています。

一方、イーサリアムには現在のところ発行上限がなく、毎年一定量のイーサリアムが新たに発行されています。ただし、2022年9月に行われた「マージ」と呼ばれる大規模アップグレードにより、イーサリアムはProof of Work(PoW)からProof of Stake(PoS)へとコンセンサスアルゴリズムを変更しました。これにより、新規発行量が大幅に減少し、場合によってはデフレ傾向になる可能性も指摘されています。

イーサリアム(ETH)の利用方法

イーサリアムの前で立つ多くの人々

イーサリアム(ETH)を利用する方法を、ウォレットの作成、送金、受取、DAppsの利用、DeFiの利用という観点でそれぞれ簡単に解説していきます。

イーサリアムウォレットの作成と管理

イーサリアム(ETH)を保管・送受信するためには、イーサリアムウォレットが必要です。仮想通貨ウォレットには主に以下の種類があります。

  • ソフトウェアウォレット:スマートフォンやパソコンにインストールして使用する(例:MetaMask、MyEtherWallet)
  • ハードウェアウォレット:専用のデバイスを使用する、最も安全性が高い(例:Ledger、Trezor)
  • ペーパーウォレット:秘密鍵を紙に印刷して保管する

仮想通貨ウォレットを作成する際は、秘密鍵やリカバリーフレーズを安全に保管することが非常に重要です。これらを紛失したり、他人に知られたりすると、資産を失う可能性があります。

イーサリアム(ETH)の送金方法

イーサリアム(ETH)の送金は、以下の手順で行います。

  1. 自分のウォレットにログイン:パスワードや指紋認証などで、安全にログインしましょう。
  2. 送金先のイーサリアムアドレスを入力:イーサリアムアドレスは、0xで始まる長い文字列です。ウォレットによっては、QRコードをスキャンしてアドレスを入力することもできます。
  3. 送金額を設定:1ETH未満の小数点以下の金額も送れます(例:0.1ETH)。
  4. ガス代を設定:多くのウォレットでは自動で設定されますが、手動で調整することもできます。
  5. 取引内容を確認し、送金を実行:確認ボタンをクリックすると、送金が実行されます。処理には数分から数十分かかることがあります。

一度送金すると取り消せないため、慎重に確認しましょう。初めて送金する時は、少額で試してみるのがおすすめです。

イーサリアム(ETH)を受け取る方法

イーサリアム(ETH)を受け取る場合、以下の手順に沿います。

  1. 自分のイーサリアムアドレスを送金者に伝える:ウォレットを開き、「受け取り」や「入金」などのオプションを探します。0xで始まる文字列を送金者に伝えましょう。
  2. 送金者が取引を実行するのを待つ:送金者があなたのアドレス宛にETHを送金するのを待ちましょう。
  3. ブロックチェーン上で取引が確認されたら、自動的にウォレットに反映される:確認が完了すると、自動的にあなたのウォレットに残高が反映されます。多くのウォレットでは、入金があった際に通知が表示されます。

送受信の際は、アドレスを間違えないよう十分注意してください。一度送金した取引は取り消すことができません。

DApps(分散型アプリケーション)の利用方法

DApps(分散型アプリケーション)とは、イーサリアムネットワーク上で動作する分散型アプリケーションです。以下の手順でDAppsを利用できます。

  • イーサリアムウォレット(MetaMaskなど)を用意する
  • 利用したいDAppsのウェブサイトにアクセスする
  • ウォレットをDAppsに接続する
  • DAppsの指示に従って操作を行う

DAppsの例としては、分散型取引所(Uniswapなど)、レンディングプラットフォーム(Aaveなど)、ゲーム(Axie Infinityなど)があります。DAppsを利用する際は、スマートコントラクトの安全性やプロジェクトの信頼性を確認することが重要です。

DeFi(分散型金融)サービスの活用

DeFi(Decentralized Finance/分散型金融)とは、イーサリアム上で最も急成長している分野の一つです。主なDeFiサービスとその活用方法は以下の通りです。

  • 分散型取引所(DEX):中央集権的な取引所を介さずに、直接トークンを交換できます(例:Uniswap、SushiSwap)
  • レンディング:暗号資産を担保に借り入れたり、逆に貸し出して利子を得たりできます(例:Compound、Aave)
  • ステーキング:ETHをロックアップしてネットワークの安全性に貢献し、報酬を得ることができます
  • イールドファーミング:流動性提供やその他の方法で、高利回りを狙うことができます

DeFiサービスを利用する際は、スマートコントラクトのリスクや、価格変動リスクなどを十分に理解した上で参加することが重要です。

イーサリアム(ETH)の価格推移

近未来都市とイーサリアム

年月 出来事 1ETHの価格
2021年1月 DeFiブームの本格化 約1300ドル
2021年5月 暗号資産市場全体の調整開始 約4000ドル
2021年11月 史上最高値を記録 約4800ドル
2022年1月 米国の金融引き締め懸念による下落開始 約3700ドル
2022年6月 暗号資産市場の大幅調整、底値を記録 約880ドル
2022年9月 イーサリアム2.0「マージ」完了 約1600ドル
2023年3月 米国のシリコンバレー銀行破綻による一時的な下落 約1400ドル
2023年7月 機関投資家の参入増加 約1900ドル
2023年12月 イーサリアムETF承認への期待高まる 約2300ドル
2024年2月 3000ドル突破、強い回復力を示す 3200ドル

引用:CoinMarketCap

イーサリアム(ETH)の価格は、その革新的な技術と幅広い応用可能性から、長期的には上昇トレンドを示してきました。

2021年11月には史上最高値となる約4800ドルを記録。しかし、その後の仮想通貨市場全体の調整や、マクロ経済環境の変化により、価格は大きく下落し、2022年6月には約880ドルまで下落しました。

2023年から2024年にかけては、機関投資家の参入や規制環境の整備などを背景に、再び上昇トレンドに転じています。特に、イーサリアムのETF(上場投資信託)の承認への期待が高まっており、これが価格上昇の一因となっています。2024年3月には再び3000ドルを突破し、強い回復力を示しています。

イーサリアム(ETH)の将来価格

イーサリアム(ETH)の将来価格として、仮想通貨ETF発行会社であるヴァンエックは、イーサリアム価格が2030年までに2万2000ドルに達すると予想しています。

また、米価格予想サイト「CoinPriceForecast」では、AIを用いてイーサリアムの今後の価格変動を予想しています。

年央 年末 今日/年末比
2024 3374ドル 4433ドル +39%
2025 4736ドル 6157ドル +93%
2030 9079ドル 8450ドル +165%

この予測によると、イーサリアムの価格は2024年末に4433ドル、2025年末に6157ドルに達し、長期的には2030年末に8450ドルまで上昇すると予想されています。

ただし、市場予測は不確実性が高く、様々な要因により変動する可能性があります。投資判断の際は、各仮想通貨の上場予定や市場の最新情報を参照し、慎重に検討することが大切です。

イーサリアム(ETH)の最新動向

さまざまな電子回路の中にあるイーサリアム

イーサリアム(ETH)の最新動向のおさらいしていきます。イーサリアムに関連する主な出来事は以下のとおり。

  • イーサリアム2.0(Eth2)への移行
  • 最新のネットワークアップグレード
  • イーサリアムエコシステムの発展

それぞれ解説していきます。

イーサリアム2.0(Eth2)への移行

イーサリアム2.0は、イーサリアムネットワークの大規模なアップグレードプロジェクトです。主な変更点は以下の通りです。

  • Proof of Stake(PoS)への変更:2022年9月に「マージ」が完了し、エネルギー消費量が大幅に削減されました
  • シャーディングの導入:ネットワークを複数の「シャード」に分割し、処理能力を向上させる計画です

これらの変更により、イーサリアムのスケーラビリティと持続可能性が大幅に向上すると期待されています。

最新のネットワークアップグレード

イーサリアムは定期的にネットワークアップグレードを行っています。2023年から2024年にかけての主な変更点は以下の通りです。

  • データ処理の効率化(EIP-4844):大量のデータをより速く、安く処理できるようになり、関連サービスの利用コストが下がります。
  • 安全性の向上(EIP-4788):過去の取引情報をより安全に保管・確認できるようになり、複雑な取引の検証が容易になります。
  • 操作性の改善(EIP-3074):ユーザーがより柔軟にスマートコントラクトを操作できるようになり、使いやすさが向上します。

これらの更新により、イーサリアムはより高速で使いやすく、そして安全なプラットフォームへと進化を続けています。

イーサリアムエコシステムの発展

イーサリアムのエコシステムは急速に成長を続けています。主な発展領域は以下の通りです。

  • レイヤー2ソリューション:Optimism、Arbitrumなど、イーサリアムのスケーラビリティを向上させる技術が普及
  • クロスチェーン技術:他のブロックチェーンとの相互運用性を高める取り組みが進行中
  • エンタープライズイーサリアム:大企業や機関によるイーサリアム活用事例が増加

これらの発展により、イーサリアムはより広範な用途に適用可能なプラットフォームへと進化しつつあります。

イーサリアム(ETH)の将来性と今後の見通し

イーサリアムを見つめる人々

ここまでの内容や最近のイーサリアム(ETH)の動向を踏まえて、将来性と今後の見通しについて見ていきましょう。

規制環境の変化と適応

今後、世界各国での仮想通貨に対する規制の強化が予想されます。イーサリアムコミュニティは、コンプライアンスを維持しつつイノベーションを促進する難しい舵取りを迫られるでしょう。

特に、STEPNなどのNFTプロジェクトやDeFiに関する規制対応が重要になると考えられます。この変化に適応できるかどうかが、イーサリアムの将来的な成功を左右する可能性があります。

競合プラットフォームとの差別化

ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポルカドット(DOT)など、イーサリアムに続く「イーサリアムキラー」と呼ばれるプラットフォームとの競争が激化すると予想されます。実際、2024年段階ではソラナ系ミームコインが増えているのが実態です。

イーサリアムは、その豊富な開発者コミュニティと確立されたエコシステムを活かしつつ、継続的なイノベーションを通じて優位性を維持する必要があります。特に、SUI(スイ)のようなトランザクション処理速度やガス代の最適化など、ユーザー体験の向上が鍵となるでしょう。

エンタープライズ採用の加速

大企業や金融機関によるイーサリアムの採用が加速すると予想されます。特に、サプライチェーン管理、デジタルアイデンティティ、トークン化された資産など、企業向けユースケースの拡大が期待されます。この動きに伴い、イーサリアムのプライバシー機能や、大規模データ処理能力の向上が求められるでしょう。

また、企業向けの専門的なサポートや開発ツールの充実も重要になると考えられます。

まとめ

霧が立ち込める都市にあるイーサリアム

イーサリアム(ETH)とは今後の金融業界を一変させる次世代のプラットフォームだと理解していただけたかと思います。

ICO仮想通貨であったイーサリアムは、継続的な技術革新と活発な開発者コミュニティによって進化を続けています。イーサリアム2.0への移行や、レイヤー2ソリューションの発展など、今後も注目すべき動きが続くでしょう。

ただし、投資や利用を検討する際は、高い価格変動性や技術的リスクなどにも十分注意する必要があります。イーサリアムの基本的な仕組みだけでなく仮想通貨プレセールなどの仮想通貨市場全体の最新動向を理解し、自己責任のもとで判断することが重要です。

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Wataru Miyake
Editor
Wataru Miyake
IT・暗号資産ライター

Techopedia(テコペディア)ライター。2021年に仮想通貨投資を開始し、NFTを中心に経験を積んだ。2024年にTechopediaに入社する前には、ブロガーとしてNFTや仮想通貨に関する記事…...