「ビットコインの半減期が2024年、訪れる」という話をよく目にします。しかし、半減期とは何かきちんと理解できていない方も多いのではないでしょうか。
半減期は、ビットコイン以外の暗号資産の価格を大きく高騰する可能性もある重大なイベントです。そこでこの記事では、ビットコインの半減期の仕組みや、半減期が与える影響について詳しく解説します。
あらゆる仮想通貨取引所で取り扱いがあり、最も有名な仮想通貨でもあるビットコインへの投資を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
半減期とは?
半減期とは、暗号資産(仮想通貨)ネットワークにおいてマイナーやバリデーター(取引やデータを検証する人)に与えられる報酬が、特定のブロック数が処理されたときに半分に減少する仕組みです。
半減期は、ビットコイン(BTC)を含む多くの仮想通貨にとって、重要なイベントとして扱われています。
ビットコインの半減期とは?
ビットコインの半減期とは、ビットコインのレイヤー1ブロックチェーン上で210,000ブロックが作成される約4年ごとに、マイナーの報酬が半分になるイベントです。
ビットコインは、取引(トランザクション)の信頼性を担保するため「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」という仕組みを採用しており、マイナーは取引を検証した報酬としてBTCを得られます。
この報酬が一定の期間ごとに半分になるのが半減期です。
半減期は、決まった日付ではなく、作成されたブロックの数に基づいて決定するため、半減期が起こる日付は取引が行われるペースによって変動することがあります。
また、ビットコインから派生した以下のブロックチェーンにも半減期が適用されるため覚えておきましょう。
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- ビットコインSV(BSV)
- ライトコイン(LTC)
ビットコイン半減期はいつ発生する?
ビットコインの半減期は、ビットコインが発明された時点でプログラムされており、210,000ブロックが作成されるごとに行なわれます。
これは、ビットコインのトークノミクスにおいて、総供給量が2100万枚と決められているのと同様です。
ブロックの作成は平均10分ごとに行なわれているため、210,000ブロックの作成にかかる時間はおよそ4年です。
半減期が訪れると報酬が半減され、マイナーのインセンティブに大きな影響を与えます。ビットコインマイニングの効率が悪くなるため、価格にも大きな影響が及ぶイベントです。
ビットコイン半減期一覧
ビットコインの半減期は、これまで以下のように行なわれてきました。
時期 | ブロック数 | 報酬額 |
2009年 | 0(ビットコイン誕生) | 50BTC |
2012年11月 | 210,000 | 25 |
2016年7月 | 420,000 | 12.5 |
2020年5月 | 630,000 | 6.25 |
ビットコインの次の半減期は2024年4月に訪れると予想されており、840,000ブロックが処理された時点でマイニング報酬が3.125BTCに半減します。
2021年5月までに発行されたビットコインの枚数は1870万枚に達しており、発行上限の90%に近づいています。しかし、このまま半減期が続いても、マイニング報酬がゼロになるのは2140年5月ごろとされています。
当面の間は、マイナーはブロックを処理するインセンティブとして報酬を受け取れる仕組みになっています。
ビットコイン半減期はなぜ起こる?
ビットコインに半減期が設定されている理由は、発行上限枚数が決められているためです。無限に発行できる法定通貨とは異なり、供給量を制限して希少性を生むために、ビットコインの創設者サトシ・ナカモトが半減期を設定しました。
マイニング報酬を半減させ続けることで、新しいコインの発行を制限し、マイニングによってインフレが起こらないようにするためのものです。
ビットコイン半減期がもたらす3つの効果
ビットコイン半減期がもらたす効果を具体的に説明すると、以下3つに集約されます。
- ビットコインの供給量を制御する:半減期によりビットコインを新規発行するペースを下げ、供給量を制御しインフレを防ぎます。
- マイニング報酬を抑制する:マイニング報酬を抑制することで、マイナーはセキュリティ維持のインセンティブを獲得し続けることが可能です。
- 市場に動きを与える:供給量が減少するため、需要が増加し、ビットコインの市場価格に影響を与えることもできます。
半減期は、ビットコインの価値を高める仕組みとして機能します。
ビットコイン以外の半減期
ビットコイン以外にも半減期が設定されている暗号資産があります。たとえば、ビットコインから派生したビットコインSVやビットコインキャッシュも2024年に半減期が行われる予定です。
一方で、ビットコインと異なるスケジュールで半減期が設定されている銘柄もあります。
たとえば、ライトコインは2011年にビットコインのソースコードから誕生しましたが、1ブロックあたりの処理時間がビットコインの4分の1です。
ただし、ビットコインの4倍の840,000ブロックごとに半減期が設定されているため、約4年というスパンは変わりません。ライトコインの最初の半減期は2015年に訪れ、報酬が50LTCから25LTCに半減されました。
2019年の半減期では12.5LTCに、2023年には6.25LTCとなっています。ライトコインの報酬がゼロになるのは2042年と予想されており、ビットコインから2年遅れのスケジュールです。
仮想通貨ダッシュ(DASH)は210,240ブロックごとに半減期が設定され、毎年報酬が半減するなど、通貨ごとに特徴があります。
主な仮想通貨の半減期一覧
通貨名 | 次回半減期(予想) | 半減期が発生するブロック数 |
ビットコイン(BTC) | 2024年3月27日 | 250,000 |
ライトコイン(LTC) | 2023年8月1日 | 840,000 |
ビットコインSV(BSV) | 2024年4月18日 | 250,000 |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 2024年4月21日 | 250,000 |
ダッシュ(DASH) | 2023年6月20日 | 210,240 |
ジーキャッシュ(ZEC) | 2023年9月23日 | 250,000 |
ヴァージ(XVG) | 2023年10月 | 500,000 |
なぜビットコイン半減期は重要なのか?
ビットコイン半減期は、投資家やマイナー、そのほかの暗号資産にかかわる人にとって最重要イベントとなっています。これは、ビットコインの市場価格に影響を受けるほかの暗号資産の需要・供給・マイニング・価格などに影響を与えるためです。
また、半減期によってビットコインの価値がより高くなります。法定通貨とは異なり発行枚数に限りがある(希少性が高い)という点で、投資家からの活発な資金流入にもつながるでしょう。
半減期がマイニングに与える影響
半減期はマイニング報酬に直結するため、マイナーへの影響はとても大きいです。
半減期はブロック数によって決定されるため、マイナーは半減期を予測してマイニング機器(GPU)の購入などを計画します。そのため、半減期によってマイナー同士の競争が激化し、効率の悪いマイナーはネットワークから自然と排除されます。
過去には半減期のあと価格が上昇し、結果的にマイナーの利益につながることもありました。
なお、ロシア系カナダ人プログラマー、ヴィタリック・ブテリン氏が開発を主導したイーサリアム(ETH)はマイニング機器によるマイニング方式を段階的に廃止し、現在ではプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みを導入しています。
ビットコイン半減期がチャートや価格に与える影響
暗号資産の価格は需要と供給によって決まるため、半減期によって新規発行枚数が減少する=供給が減ることになり、価格上昇につながります。
ビットコインの半減期はチャートに大きな影響を与えると言われています。以下の画像では、ビットコイン価格が半減期のあとに上昇していることが見てとれます。
前回のビットコイン半減期(第3回)では、2020年3月の5,000ドルから、1年8か月後の2021年11月、69,000ドルまで上昇しています。
しかし、デジタル資産投資会社のGreyscale Associates社による分析では、以下のような指摘もあります。
ビットコイン半減期を価格上昇の要因と見るのは短絡的だ。ビットコイン価格は、確かに半減期に前後して上昇してきた。しかし価格上昇の要因を半減期の影響と決めつけるのは、複雑な市場変化を単純化し過ぎている
半減期は予測可能なイベントですが、価格変動にはそのほかの予測できない要因があります。客観的な情報に基づいた投資をするには、個別の事象を理解し、大局的な視点を持つことが重要です。
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