ルームネットワーク(Loom Network/LOOM)とは?
ルームネットワーク(Loom Network)は、開発者が大規模な分散型アプリケーション(dApps)を作成できるよう支援するプラットフォームです。ルームネットワークを活用することで、開発者は特定のニーズやユースケースに応じたカスタムメイドのdAppsを構築できます。
各dAppには、コンセンサスとセキュリティ対策に関する独自の要件があります。ルームネットワークでは、開発者がプロトコルの定義された目的に従って独自のルールを作成し、実装できるようにしています。開発者は特定のニーズやユースケースを満たすdAppを、スムーズに構築できるようになるのです。
ルームネットワーク(Loom Network/LOOM)の詳細
ルームネットワークは、スマートコントラクトのスケーラビリティ問題を解決するために、イーサリアム上に構築されたレイヤー2プロトコルです。従来のアプリケーションと同様のユーザーエクスペリエンス(UX)を提供しながら、ブロックチェーンベースのアプリケーション開発を高速にします。
ルームネットワークの初期には、ソーシャルメディアやゲーム向けのブロックチェーンベースの分散型ネットワーク構築に重点が置かれました。SocialChainやGameChainなどのプロジェクトは、大きな注目を集めた代表例と言えます。その後、エンタープライズ向けのアプリケーションに焦点を移し、PlasmaChainやDAppChainなどのプラットフォームを提供しました。
ルームネットワーク(Loom Network/LOOM)の仕組み
ルームネットワークは、迅速なトランザクションとスムーズなユーザーエクスペリエンスを実現するため、ブロックチェーンアプリケーションのスケーリングに最適化されています。
Plasmaネットワークからヒントを得たフレームワークを使用しており、代表的なシステムは以下の2つです。
- ソフトウェア開発キット(SDK)
- 委任型プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)
ソフトウェア開発キット(SDK)
ルームネットワークのソフトウェア開発キット(SDK)は、dApp開発に必要なツールセットを提供します。dApp開発者は、イーサリアムブロックチェーン上での高度な知識を持ち合わせていなくても、さまざまなアプリケーションを構築できます。
委任型プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)
ルームネットワークはイーサリアムエコシステム上で動作し、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)アルゴリズムの発展形であるDPoSを使用しています。PoSシステムでは、コインをステーク(ロックアップ)したユーザーが報酬を受け取りますが、DPoSではユーザーがバリデーターにトークンを委任し、バリデーターがトランザクションを検証するシステムです。
ルームネットワークには21以上の委任バリデーターが存在し、新しいブロックの検証速度が非常に速くなります。開発者は、イーサリアムネットワークではトランザクションの確定までに通常15秒程度かかるところ、Loom Networkでは1秒で確定できます。
LOOMトークン
ルームネットワークの運営の中心となるのはLOOMトークンです。LOOMという仮想通貨(暗号資産)の存在により、開発者はブロックチェーンプロトコル上でdAppをホストするコストを賄うことができます。LOOMはビットコイン(BTC)などと同様に、仮想通貨取引所で売買することが可能です。
LOOMトークンの代表的な用途は、以下のとおりです。
- ステーキング:ネットワークを保護するためにトークンをロックアップし、トランザクション検証の報酬を得る。
- ガバナンス:ルーンネットワークは完全に分散化されており、トークン保有者
(コミュニティ)はネットワークの提案に投票し、開発の方向性を決定する。 - 委任:ユーザーがネットワーク上で新しいブロックを作成したい場合、LOOMトークンを預けてバリデータを選ぶことができます。バリデータは、ネットワーク全体の利益を優先して行動します。
ルームネットワーク(Loom Network/LOOM)の歴史
ルームネットワークは、Matthew Campbell、James Martin Duffy、Luke Zhangの3人のソフトウェア開発者によって設立されました。共同設立者はそれぞれ異なる役職を務めており、Matthew CampbellがCEO、James Martin DuffyがCMOを務めました。
- 2017年:ルームネットワークの前身となるCrypto Zombiesが立ち上げられました。開発者にEthereum dAppsの構築方法を教えるオンラインコーディングスクールとしてスタートします。
- 2018年:ルームネットワークはPlasmaChainメインネットとともに実稼働を開始しました。当時はソーシャルメディアとゲームアプリに重点を置いていました。
- 2019年:PlasmaChainと呼ばれるマルチチェーンを作成する計画を発表しました。ユーザーは複数のブロックチェーンプロトコル上で相互運用可能なアプリを構築できるようになります。
ルームネットワーク(Loom Network/LOOM)の特徴
ルームネットワークは、イーサリアムにおけるスケーラビリティの制限を克服するために設計されたレイヤー2ソリューションです。レイヤー1ブロックチェーンでは実現が難しかった機能を実現します。
ルームネットワークの主な機能は、以下のとおりです。
- dApp開発テンプレートの提供:開発者が特定のニーズに合わせてカスタムアプリを作成できます。たとえば、eラーニング、サプライチェーン管理、デジタル資産取引のアプリなどが代表例です。
- 従来のアプリケーションと同様のUX:ブロックチェーンの利点を活かしつつ、従来のアプリケーションと同じ使いやすさを作り出します。ユーザー体験が向上し、新しいユーザーも簡単に利用を開始できます。
- Universal Transaction Signing(UTS)メカニズム:仮想通貨ウォレットを使って、ルームベースのdAppと簡単にやり取りできます。
- マルチチェーンの相互運用性:主要なブロックチェーンネットワークからデータを送受信でき、広範な仮想通貨エクスペリエンスを提供します。
結論
ルームネットワーク(Loom Network)は、マルチチェーンの相互運用可能なブロックチェーンプロトコルです。使いやすいUXと透明性、ブロックチェーンシステムの利点を兼ね備えています。開発者にとっては、イーサリアム上でのスケーラビリティ問題を解決するソリューションであり、さまざまな分野での利用が期待されています。