パイネットワーク（Pi Network）、パイコイン（PI）

パイコイン（PI）とは？

パイコイン（PI）は、パイネットワーク（Pi Network）というブロックチェーンプロジェクトのネイティブ仮想通貨（暗号通貨）です。プロジェクトの目的は、デスクトップやモバイル端末を持つすべてのユーザーがマイニングに参加でき、誰でも簡単に仮想通貨の世界に参加できるようにすることです。

「パイ」という名称は、円周率を表す数学定数 π（パイ）に由来しています。仮想通貨のパイコインは、パイネットワークのマイニングプロセスに参加したユーザーへの報酬として配布されます。プロジェクト自体は2019年に開始されましたが、まだ完全には稼働していません。現在でもパイコインが正当な仮想通貨なのか、それとも偽物なのかという議論が交わされています。

2023年初頭から開始されたハッカソン（短期間で集中的にプロジェクト作成を行うイベント）では、参加者がパイエコシステム上で動作するゲーム、分散型金融（DeFi）、メタバースアプリケーションの開発に取り組んでいます。2023年8月時点で4700万人のアプリユーザーを抱えており、顧客確認（KYC）チェックを終え、テストネットからメインネットへの移行を果たしたユーザーを「パイオニア」と呼んでいます。

パイコイン（PI）を作成したのは誰ですか？

プロジェクトの公式ウェブサイトに記載されている情報によると、パイコインはブロックチェーンの専門知識を持つスタンフォード大学卒業生のチームによって開発されました。

パイコイン（PI）の仕組み

ビットコインのような初期のレイヤー1ブロックチェーンは、プルーフ・オブ・ワーク（PoW）プロトコルを使用してトランザクションを検証し、新しいブロックをチェーンに追加します。ビットコインでは、マイナーは新しく生成されたコインを各ブロックの報酬として受け取ります。

一方、パイネットワークは独自の方法を採用しました。ブロックチェーンは、ステラ・コンセンサス・プロトコル（SCP）の初期バージョンを基にしたアルゴリズムを使用してトランザクションを検証します。

ステラ・コンセンサス・プロトコルのイメージ図

パイネットワークは最初に、ユーザーがノードを運用し、3〜5人の信頼できる人々でセキュリティサークルを形成できるモバイルマイニングアプリをリリースしました。不正なトランザクションの承認を防ぎつつ、グローバルなネットワークを構築することが目的です。

その後、開発者たちはモバイルアプリと連携して動作するデスクトップベースのパイノードソフトウェアを導入しました。

パイコインアプリの仕組み

登録後、ユーザーはアプリ内でマイニングプロセスを開始してパイコインをマイニングできます。積極的な参加や、複雑な技術的知識は必要ありません。

ユーザーはモバイルアプリのアカウントを使って、ノードソフトウェアにログインします。各ユーザーはアカウントを1つだけを持つことができ、1つのノードのみを実行できます。マイニングはモバイルアプリからのみ可能ですが、デスクトップインターフェースではパイコインの残高確認、チャット、ホーム画面でのメディアコンテンツ表示などが可能です。

ユーザーがコインをマイニングすると、アプリに広告が表示されます。広告がプロジェクト作成者の収入源です。

テスト段階では、テストネットノードはマイニング報酬を受け取りません。開発者はテスト中にパイネットワークの拡張と改良を行っています。収集したデータに基づいて最適なインセンティブメカニズムを決定する予定です。

2023年8月1日には、報酬発行方式に基づく月次調整の一環として、新しい基本マイニングレートが適用されました。マイナーは、パイコインのロックアップ、アプリの使用、ノード運用、セキュリティサークルの形成、紹介などの貢献を通じて、マイニングレートを上げることができます。

またパイコインは2023年6月にFireside Forum Web3ソーシャルプラットフォームを立ち上げ、12月には分散型モデレーション機能を追加しました。ポジティブな交流に報酬を与え、ネガティブな行動を抑制するトークノミクスを通じて、ソーシャルコンテンツの投稿や会話の質を向上させ、健全なコミュニティの維持を目指しています。2023年11月末には、パイネットワークの仮想通貨ウォレットに、ピアツーピア取引用のQRコード機能が追加されました。

パイネットワーク（Pi Network）は、いつ開始されますか？

パイネットワークは2018年にベータ版としてリリースされ、テストネットは2020年3月に公開されました。モバイルアプリでは、プロジェクトが完全にリリースされる前にマイニングが可能になり、ユーザー間で急速に人気を集めました。開発チームは、個人には手の届きにくいビットコインマイニングの代替として、このプロジェクトを推進しています。

しかし、数回の延期を経てもパイネットワークはまだ完全には稼働しておらず、ねずみ講や詐欺行為である可能性が懸念されています。メインネットは2021年12月に開始されましたが、外部からの接続を防ぐためにファイアウォールで保護されています。

パイネットワークは2023年10月31日にバージョン1（V1）ロードマップを発表し、3つの主要開発フェーズと、将来計画を含むバージョン2（V2）ロードマップの概要を示しました。注目すべきは、ロードマップにメインネット公開のタイムラインや、パイコインの発売日が含まれていないことです。

2023年12月、開発者はV2ロードマップでネットワーク計画を更新し、3つの条件が満たされれば2024年にメインネットが完全公開されるとしましたが、「具体的な日付は設定していない」とも付け加えました。

3つの条件は以下の通りです。

パイネットワークの戦略に従い、技術、製品、ビジネス、法務のあらゆる面でオープンネットワーク準備を完了すること。
ネットワークKYC、移行、ユーティリティ作成に関する目標を達成すること（1500万人のパイオニアがKYCに合格、1000万人のパイオニアがメインネットに移行、メインネット上で動作し、方針に沿ってニーズに応える実用的なパイコインアプリを100個開発）
マクロ経済の弱さなど、ネットワークの成功を妨げるような不利な外部環境が存在しないこと。

発表時点で、KYC認証済みのパイオニアは約800万人、そのうち390万人がメインネットに移行しており、実際のPiアプリは約40個ありました。開発チームは引き続き技術・製品サポートを提供しますが、KYCと移行の目標達成にはコミュニティがより多くのパイオニアを参加させる必要があります。

パイコイン（PI）は詐欺ですか？

パイコインは現在も、取引不可能な状態が続いています。多くのコインを保有するユーザーの中には、非公式なピアツーピア取引に参加し、将来的にトークン転送が可能になった時点での取引完了に同意している人もいます。

12月には、HTX、BitMart、Biconomyなど複数の仮想通貨取引所が、「Pi IOU（I Owe You：債務証書）」の価格リストを掲載し始めました。現地メディアの報道によると、ベトナムのサイバーセキュリティ・ハイテク犯罪対策局は、パイネットワークに対する捜査を開始したとのことです。

パイコイン（PI）は何枚ありますか？

パイコインは、BinanceのBNBブロックチェーン上で運用されているパイネットワークDeFiトークンとは別物であり、混同しないよう注意が必要です。パイネットワークはまだ開発・テスト段階にあるため、コインの総供給量は未定です。現時点では、コインを現金や他の仮想通貨と交換できないため、実質的な価値はありません。

パイネットワークは、ビットコインが4年ごとの半減期でマイニング報酬を減少させるのと同様に、新しいコインの生成を制限し希少性を創出するため、定期的な半減期を設計しています。

ネットワークのユーザー数に応じて、マイニングレートは以下のように変化します。

ユーザー数が10万人：マイニングレートは1時間あたり1.6Piから0.8Piに半減
ユーザー数が100万人：0.4Piに半減
ユーザー数が1000万人：0.2Piに半減

最終的に、パイコインが10億人のユーザーに達した場合、ブロック報酬はゼロになる計算です。

パイコイン（PI）の価格

パイコインは現在、閉鎖的なメインネットの状態にあるため、公開市場での取引は行われておらず、外部取引所での価格履歴も存在しません。しかしパイコインの保有者たちは長期にわたり、IOUを使用して仮想通貨πに暗黙の価値を付与してきました。

上記の状況を受けて、一部の価格データサイトが2023年初頭から非公式市場を追跡する目的でパイコインの価格を掲載し始めました。ただし価格は、コインが公開市場で取引されるようになった際には、必ずしも正確でない可能性があります。

パイコインの価値は、主にコミュニティの感情に基づいています。メインネットが完全に起動するまでは、コインは依然として開発段階にあり、取引はパイネットワーク内でのみ可能な状態が続きます。

パイコイン（PI）の今後と将来性は？

パイコインの開発者は、プロジェクトのロードマップに複数のフェーズが含まれていることを示唆しています。彼らの目標は、メインネットが完全に稼働した後、パイコインがさまざまな取引に利用され、商品やサービスの支払いに使用できるようにすることです。投資や投機目的で作られることの多い仮想通貨コインやトークンとは、異なる点と言えるでしょう。

プロジェクトは現在も開発段階にあるため、将来性は以下の2つの要因に大きく影響されます。

1. メインネットへの完全移行の成功

2. パイコイン上場し、仮想通貨取引所で取引可能になること

上記のステップは、パイコインを正式な仮想通貨として確立するための重要なマイルストーンとなるでしょう。パイコインの今後は、プロジェクトの進展と市場の受け入れ状況に大きく左右されることになります。