SQL(構造化クエリ言語)とは?
SQL(構造化クエリ言語)は、データベース管理システム(DBMS)でデータを操作するための言語です。「Structured Query Language」の略で、直訳すると「構造化された(データベースへの)問い合わせ言語」という意味になります。1970年代初頭にIBMによって開発され、現在は米国規格協会 (ANSI)および国際標準化機構(ISO)から公式標準として認められました。
SQLを使用することで、データベースに格納されているデータを検索、追加、更新、削除できます。SQLを使ってデータベースの構造自体を定義したり変更したりすることも可能です。リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)で特に広く使用されていますが、非リレーショナルデータベースシステム(NoSQL)にも適用されることが増えています。
SQLの詳細
SQLはデータのクエリ、操作、集計など多様な機能を提供し、構造化されたデータを幅広く取り扱えるようにします。MySQL、Oracle、Sybase、SQL Server、Postgresなど多くの商用データベース製品で採用中です。逆にMongoDBやDynamoDBのような非リレーショナルデータベースではSQLが用いられていないため、NoSQL製品とも呼ばれます。
SQLのバージョンによって、キー操作の構文が異なることもありますが、select、insert、update、createなどの基本的なコマンドは全てのSQLバージョンで共通です。SQLの基本を理解している人なら、様々な環境で効率的に作業し、多岐にわたるタスクを遂行できます。
SQLコマンドのカテゴリー4種
SQLを扱うには、SQLコマンドを理解する必要があります。SQLコマンドとは、データベースに対して特定の操作を指示するための文や命令です。
DDL(データ定義言語)
DDL(Data Definition Language)は、データベースの構造を定義するために使われるコマンド群です。テーブルやシーケンスといったデータベースの構造を定義、変更、削除するときに使われます。代表的なDDLは、以下のとおりです。
- CREATE:新しいテーブルやビュー、その他のデータベースオブジェクトを作成するために使用されます。
- ALTER:既存のデータベースオブジェクトを変更するために使用されます。
- DROP:データベースオブジェクトを削除するために使用されます。
DML(データ操作言語)
DML(Data Manipulation Language)は、データベース内のデータを操作するために使われるコマンド群です。代表的なDMLは、以下のとおりです。
- SELECT:データベースからデータを検索するために使用されます。
- INSERT:データベースに新しいレコードを追加するために使用されます。
- UPDATE:データベース内の既存のレコードを更新するために使用されます。
- DELETE:データベースからレコードを削除するために使用されます。
DCL(データ制御言語)
DCL(Data Control Language)は、データベースのセキュリティやアクセス権限を管理するために使用されるSQLの一部です。DCLには、主に以下の二つの命令があります。
- GRANT:ユーザーにアクセス権や操作権を付与します。特定のテーブルへの読み取り権限や書き込み権限を、ユーザーに与えることができます。
- REVOKE:ユーザーから特定の権限を取り消します。以前に付与されたアクセス権や操作権を削除できます。
DCLを使用することで、データベース管理者は誰がデータベースのどの部分にアクセスできるかを制御し、データの安全性と整合性を保つことができます。
データベースのインデックス作成
SQLにおけるインデックスは、データベース内のデータの検索速度を向上させるためのデータ構造です。本の索引が特定のトピックを見つけやすくするように、データベースのインデックスも特定のデータを見つけやすくします。インデックスには、以下の二つの命令があります。
- CREATE INDEX:テーブルの特定の列にインデックスを作成するために使用されます。列に対する検索やソート操作が高速になります。
- DROP INDEX:既存のインデックスを削除するために使用されます。インデックスが不要になったり、パフォーマンスに悪影響を与えている場合に使用します
SQLにおけるコマンドを理解することは、データベースの設計、操作、保守において非常に重要です。それぞれのコマンドは、データベースとのやり取りを効率的かつ効果的に行うための特定の目的を持っています。
SQLで何ができる?
SQLを使用することで、ユーザーはテーブルや列に制約を構築したり、テーブルや列に含まれるデータの種類を制限できます。データの正確性と関連性を確保でき、機能が合理化されることでデータベース全体の管理が簡素化されます。
SQLの具体的な使用例は、以下のとおりです。
- 顧客データ管理:企業は顧客情報をデータベースに保存し、SQLを使用して顧客データを管理します。例えば顧客の購入履歴を分析してマーケティング戦略を立てたり、カスタマーサポートを提供したりする際に利用します。
- 在庫管理:小売業者や製造業者は在庫データを追跡し、SQLを使用して在庫レベルを管理します。SQLでの管理により、過剰在庫や品切れを避けることができます。
- 金融分析:銀行や投資会社はSQLを使用して、顧客の取引データや市場データを分析し、リスク管理や投資判断を行います。
- ウェブサイトのバックエンド:多くのウェブサイトやアプリケーションは、ユーザー情報、コンテンツデータ、トランザクション履歴などを格納するためにデータベースを使用しており、収集したデータに対してSQLクエリを実行します。
SQLはビジネスのあらゆる面でデータを効率的に管理し、分析するために広く使われています。
SQLの限界と代替案
SQLは上手に活用すれば大変便利ですが、限界もあります。SQLの制約は以下のとおりです。
- NULLではない:ある列がnull値を取ることを禁止します。その列には必ず具体的な値が必要です。
- ユニーク:列内の各値が唯一であることを保証します。同じ値を持つ行が二つ存在することを防ぎます。
これらの制約は、データベース内のデータの整合性と正確性を保つために使用されます。
SQLの限界
制約があることで、SQLの使用には以下のような限界が存在します。
- スケーラビリティの問題:1990年代からSQLは多くのデータ操作に有効でしたが、データ量が膨大になるとリレーショナルデータベースはスケールアップ(システムの拡張)に問題を抱えました。
- シャーディングの制限:大規模なデータベースをより小さく、管理しやすい単位に分割するプロセスをシャーディングと言います。SQLではシャーディングが困難な場合もあり、一部のユーザーが不満を抱えていました。
SQLの代替案
SQLの限界を克服するために代替案も考案されています。代表的なものは、以下のとおりです。
- NoSQL:従来のリレーショナルデータベースのスケーラビリティ問題に対処するために生まれたデータベースシステムで、非関係型データを扱うことに特化しています。大量のデータを分散して処理できます。
- NewSQL:SQLの強み(トランザクションの整合性と信頼性)を維持しつつ、スケーラビリティとパフォーマンスを強化したデータベースシステムです。
SQLは有益なデータベース言語ですが、全ての状況に最適というわけではありません。大量のデータを効率的に扱う必要がある場合や、システムをスケールアウト(水平拡張)する必要がある場合、NoSQLやNewSQLのような技術が検討されることもあります。